上がらない肩を無理に動かすのは逆効果?――「動かす=良いこと」とは限らない話

1. 「動かさないと固まるよ」は本当?

四十肩・五十肩で肩が動かなくなってくると、よくこう言われます。
「動かさないと余計に固まるから、どんどん動かした方がいいよ」と。

確かに一理あるのですが、それがいつ・どんな状態でも“正解”とは限りません。
むしろ、タイミングを間違えると悪化させてしまうケースもあります。


2. 急性期に無理に動かすとどうなる?

肩関節周囲炎の初期は、「炎症期」と呼ばれ、痛みや夜間痛が強く出る時期です。
この時期に無理をすると――

  • 筋肉が“防御反応”でさらに固まる
  • 神経が過敏になって痛みが強くなる
  • 睡眠の質が下がって回復が遅れる

つまり、「動かさないとダメ」という思い込みが、逆に治癒の妨げになることもあるのです。


3. 「動かすこと=動きの再学習」になるように

大事なのは、動かすことが“リハビリ”になっているかどうかです。
ただ動かすのではなく、

  • 自分の感覚をちゃんと伴っているか?
  • 他の部位との連動を感じられているか?
  • 支持面が安定して、安心して動けているか?

こうした**“感覚の条件が整っているか”がカギ**になります。
それがないまま動かすと、「ただ痛いだけ」で終わってしまいます。


4. 感覚 → 動き → 筋力の順番で整える

肩を整えていく上では、次の順番がとても大切です:

  1. 感覚の再入力(痛くない位置で肩の存在を感じる)
  2. 動きの再構築(肩甲骨や胸郭との連動をつくる)
  3. 筋出力の強化(可動域を広げつつ負荷をかける)

つまり、“まず感じる”が最初に来るんです。
いきなり「鍛える」「伸ばす」では、身体がびっくりしてしまいます。


5. 「動かせるけど使えてない肩」になっていませんか?

痛みが落ち着いてきたのに、肩がうまく使えない。
そんなとき、よく見られるのがこの状態です:

  • 動かそうとすると他の筋肉が代償的に働く
  • 肩甲骨が浮いたままで安定しない
  • 動きのタイミングや連動がバラバラ

これは、“動かすことを覚え直す”段階に来ているというサインです。


6. 無理せず“整う方向”に身体を導くことが大切

肩はとても繊細な関節です。
だからこそ、無理に矯正するより、整いやすい条件を整える方が結果的に早いことが多い。

  • 呼吸のリズムを整える
  • 支持面(接地)の感覚を安定させる
  • 肩以外の部位(胸椎や骨盤)を先に整える

これらを通じて、肩そのものを“整う方向”に導くというアプローチが、
安全で効果的な回復の道になります。

整体では、

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな40歳。

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