1. 突然肩が痛くなった…それ、ただの「年齢のせい」?
ある日突然、肩が痛くて腕が上がらない。夜中にズキズキして眠れない。そんな経験、ありませんか?
これがいわゆる「四十肩」「五十肩」と呼ばれる症状で、正式には肩関節周囲炎といいます。
整形外科では「加齢によるもの」と説明されることが多いですが、年齢だけで片付けてしまうには少しもったいない症状でもあります。
なぜなら、この痛みの背景には、**構造だけでは説明できない“つながりの乱れ”**があることが少なくないからです。

2. 「肩が痛い=肩だけが悪い」ではない
肩は、実は身体の中でも非常に複雑な関節です。
肩甲骨、鎖骨、上腕骨の3つの骨に加えて、肩甲胸郭関節という“関節のようで関節でない”構造が連携しています。
つまり、肩がスムーズに動くためには、胸郭・背骨・骨盤・腕の全体が協調して動くことが必要。
肩関節だけを診ても、本当の原因にはたどり着けないことが多いのです。
3. 「動かすと痛い」は“感覚の誤作動”かもしれない
肩関節周囲炎では、「動かそうとすると激痛が走る」「夜になるとズキズキして眠れない」といった症状が多く見られます。
しかし、これらは単に構造的な炎症だけではなく、神経系の過敏状態や、
**動きに対する“誤警報”**が影響していることもあります。
痛みが出ない範囲での微細な動きや、皮膚・関節への感覚入力によって症状が変わるケースもあり、
「痛み=損傷」とは限らないということが臨床ではよく見られます。
4. 回復には“順序”がある:感覚→動き→力
痛みが落ち着いてきたからといって、いきなりトレーニングを始めても逆効果になることがあります。
回復のステップとして大切なのは、
- 痛みの出ない位置で感覚を取り戻す
- 肩甲骨や胸郭と連動した動きを再学習する
- 可動域を広げ、筋力をつける
という順番です。
特に、肩甲骨の“浮き”や胸椎の硬さが改善すると、肩関節そのものの負担が減り、自然に動きやすくなる方が多くいます。
5. よくある誤解とそのリスク
「動かさないと固まるから、ガンガン動かした方がいい」
と言われることもありますが、これは注意が必要です。
急性期の強い痛みがあるときに無理に動かすと、炎症や筋緊張を強めてしまう可能性があります。
かといって、「まったく動かさない」のもまたリスク。
大切なのは、今の状態に合った適切な刺激を選ぶこと。
その日の体調や感覚の変化を見極めながら進めていく視点が必要です。
6. 「治る過程」にも個人差がある
肩関節周囲炎は、「自然に治る」と言われることもあります。
ですが、完全に元通りになるまでに1〜2年かかる人も少なくありません。
また、一度よくなっても、反対側に同じ症状が出たり、再発するケースもあります。
そんなとき、「なんでまた?」と思わず、“つながりの再構築”という視点で自分の身体を見直すチャンスだと捉えてみてください。
構造だけでなく、感覚・神経・動作の統合が整っていくことで、身体は着実に変わっていきます。
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