変形性膝関節症とは?――構造の変化と“動かし方のクセ”から読み解くひざの不調

1. 変形性膝関節症ってどんな病気?

変形性膝関節症(OA)は、膝関節の軟骨がすり減ることで関節の変形や炎症を起こし、痛みや動きの制限が出る疾患です。

日本では中高年女性に多く、特に50代以降で徐々に進行することが多いです。
軟骨の摩耗に加えて、骨の変形や関節包の緊張、滑液の分泌低下など、複数の要素が絡み合いながら症状が進行します。


2. 主な症状は?どんな時に痛みが出る?

  • 階段の昇り降りで痛む
  • 立ち上がる瞬間にズキッと痛む
  • 正座やしゃがみ込みができない
  • 膝が腫れて重だるい感じが続く
  • 朝起きた直後に動きが固まっている

このように、動き始めや負荷がかかるタイミングでの痛みや、関節の可動域の制限が代表的です。


3. なぜ膝の軟骨がすり減ってしまうのか?

直接の原因は加齢や使いすぎと思われがちですが、実際には以下のような“動きのクセ”や“姿勢のズレ”が関与していることが多いです:

  • 重心が外側に偏っている
  • 股関節や足関節の可動域が狭く、膝に代償がかかる
  • 歩行時に膝がねじれて接地している

つまり、膝単体の問題というよりも、身体全体のつながりの中で“膝に負担が集中するパターン”があるのです。


4. 変形が進んでいても痛みがない人もいる?

実はレントゲンで“変形が進んでいる”と診断された方でも、痛みがほとんどないケースはあります。
その一方で、変形の程度が軽くても痛みが強い人もいます。

この違いは、“身体の使い方”“感覚の鋭さ”“動作時の安定性”などに由来します。

つまり、“変形=痛み”ではなく、
“どのように動いているか”“どう支えているか”が、実際の症状に大きく関与しているのです。


5. ひざに優しい“動き方”とは?

▼ ポイント①:膝を支えすぎない

→ 膝でバランスを取ろうとすると過緊張が起こります。まずは「股関節」と「足裏」の感覚を取り戻すことで、膝への過剰な集中を緩和します。

▼ ポイント②:股関節〜足首の“連動”を高める

→ 膝は中間関節なので、股関節と足首の動きが悪いと代償的に酷使されます。可動域を広げ、スムーズな連鎖を促すことが予防にもつながります。

▼ ポイント③:立ち上がり・階段の“重心誘導”

→ つま先側に軽く重心を移すようにして立つ、階段では踵からでなく母趾球で地面を押すように意識すると、負担が分散されやすくなります。


6. 動かしすぎ?休ませすぎ?バランスが重要

変形性膝関節症では「動かすと悪化する」と不安になり、安静にしすぎてしまうこともあります。

しかし、関節は“動かすことで滑液が循環し、栄養が届く”という構造です。
つまり、負荷をかけすぎずに“正しく動かす”ことが、痛みの緩和と進行予防に効果的なのです。


7. 膝のケアは“構造”と“感覚”の両面から

変形性膝関節症を「治す」ことは難しくても、「悪化を防ぐ」「痛みを減らす」ことは可能です。

そのためには、単に筋力トレーニングをするのではなく、

  • 骨盤や足との“連動”を取り戻す
  • 膝の“内側からの安定感”を高める
  • “支えられている感覚”を再教育する

といった“感覚の再構築”が必要になります。
関節の声に耳を傾けることから、あなたの膝との付き合い方はきっと変わっていきます。

整体では、

・疾患についての情報
・身体の構造や仕組み
・その他健康に関すること

など、読むと少しあなたのヘルスリテラシーがあがるような記事をアップしていきます。

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな40歳。

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