1. 日中は我慢できるのに、なぜ夜だけズキズキ痛むの?
「昼間はそこまで気にならないのに、夜になるとズキズキして眠れない」
これが肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)に特徴的な“夜間痛”です。
不思議に思う方も多いですが、実はこの夜の痛みには、いくつかの理由が重なっています。
ただの「寝返りのせい」ではなく、身体と神経の状態の変化が大きく関与しているのです。
2. 副交感神経が優位になると“感覚”が敏感に?
夜になると、交感神経の緊張がゆるみ、副交感神経が優位になります。
これは本来、リラックスして眠りにつくための正常な働き。
ところが、神経が過敏な状態になっていると、
副交感神経が優位な“夜”のほうが痛みを感じやすくなることがあります。
- 神経の閾値(しきいち)が下がっている
- 感覚のフィルターがゆるむ
- 安静状態で“痛みセンサー”が浮き彫りになる
つまり、体は休んでいるのに、神経は緊張しやすいというギャップが、夜間痛の背景にあるのです。
3. 支持面の崩れが痛みを呼び込むことも
もうひとつの要因が、「寝ているときの姿勢」です。
- 横向きで肩が圧迫される
- 仰向けでも肩の位置が不安定で浮いている
- 枕やマットレスとの接地が合っていない
このように、**肩関節が安定せず“支えられていない状態”**では、筋肉や靭帯に負担がかかり、夜間痛が悪化します。
逆に言えば、“どこで支えているか”を変えるだけでも痛みが減ることがあるのです。
4. “夜の痛み”は感覚のズレを教えてくれるサイン
夜間痛は、身体が「今の姿勢や動き方では無理があるよ」と教えてくれているサインかもしれません。
以下のような感覚のズレがあると、夜間痛は出やすくなります。
- 肩甲骨が浮いていて、支えを失っている
- 背骨の弾力がなく、肩への力の逃げ場がない
- 胸郭が硬くて、呼吸が浅くなっている
つまり、「肩が痛い」のではなく、「肩が頼られすぎている」状態なのです。
5. 夜間痛に対してできる“構造”と“感覚”の工夫
【構造の工夫】
- 抱き枕やタオルを腕の下に入れて“支持面”をつくる
- 仰向け時に肩が浮かないよう、背中側にバスタオルを敷く
- 肘と手首の角度を調整して、肩の位置を安定させる
【感覚の工夫】
- 寝る前に、呼吸を深くする練習(吸う:4秒、吐く:6秒×5回)
- 肩まわりにやさしく触れる・さする(自分でもOK)
- 寝具に肩を預ける感覚をゆっくり味わう
こうした“微細な工夫”で、夜間痛が穏やかになった方は多くいらっしゃいます。
6. 痛みを「抑える」のではなく、「理解する」ことで整いやすくなる
夜間痛は厄介ですが、それは**身体が発している“調整のヒント”**とも言えます。
無理に抑えようとするのではなく、
- なぜ夜だけ痛むのか
- どこに支えが足りていないのか
- 呼吸や感覚はどうなっているのか
といった視点で身体を見つめ直すことで、根本から整える道筋が見えてきます。
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