1. 「受け身の施術」で得られるのは、一時的な“整った感”かもしれません
整体やマッサージを受けたあと、なんだか身体が軽くなったような感覚になる。 それ自体はとても良いことですし、実際に血流が良くなったり、筋緊張が緩んだりと、身体にとってプラスになる要素もあります。
ですが――その感覚、どれくらい続いていますか?
数日後、あるいは翌朝には元に戻ってしまっている。 そう感じた経験がある方は、少なくないと思います。
それは“受け身の施術”だけで整えようとしているからかもしれません。
2. 整体には「2つの役割」があります
整体等で用いられる徒手療法は、本来「治す」ものではなく、
- 身体の構造を“整える”こと
- 感覚や使い方に“気づかせる”こと
この2つの役割を持っています。
そして、これらの役割を活かすためには、“その後の動き”が欠かせません。
3. 徒手療法は“きっかけ”にすぎません
関節や筋膜の制限を調整する。 神経の流れをスムーズにする。 姿勢や動作の軌道をリセットする。
そうした徒手療法は、身体を整えるための「準備段階」です。
しかし、その後に“自分で動かす”ことがなければ、 神経と筋肉の連携は戻らず、感覚のズレも修正されません。
つまり、施術によって「動かしやすい状態」になったあとに、
- 正しい関節の滑りを伴った動き
- 適切な筋出力のタイミング
- 支持面に対する感覚の安定
これらを再構築していく必要があります。
4. 身体の不調は「動きのクセ」がつくった結果です

たとえば――
- 膝が痛むからといって、その原因が膝だけとは限らない
- 腰の張りは、股関節や背骨の動きの代償かもしれない
- 肩こりは、呼吸の浅さや肋骨の硬さが関係しているかもしれない
こうした複雑なつながりを読み解くためには、 単に「ほぐす」だけでなく、「どう動いているか」に目を向ける必要があります。
5. 変えるべきは「感覚」と「使い方」
身体を変えるには、“自分の身体をどう感じているか”という感覚そのものを整えていく必要があります。
たとえば、正しく立っている“つもり”でも、実際には重心が外側にズレていたり、 肩が力んでいたり、肋骨がロックされていたり。
それに気づくきっかけになるのが、徒手療法です。
そして、その整った感覚を“自分の中に落とし込む”作業が、運動療法やセルフケアです。
6. 実は、ほとんどの整形外科的疾患で「運動療法」が高く評価されています
近年のガイドラインや国際的な推奨では、以下のように「運動療法」が非常に高い評価を受けています:
- 変形性膝関節症:強く推奨(OARSI Guidelines 2019)
- 変形性股関節症:強く推奨(OARSI Guidelines 2019)
- 腰椎椎間板ヘルニア:強く推奨(Qaseem A, et al. Ann Intern Med. 2017)
- 脊柱管狭窄症:強く推奨(Genevay S, et al. Lancet. 2010)
- 肩関節周囲炎:強く推奨(Page MJ, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2014)
- 頚椎椎間板症/ヘルニア:段階的に推奨(Gross AR, et al. J Orthop Sports Phys Ther. 2015)
一方で徒手療法は、多くのガイドラインで「併用すべき補助的手段」として紹介されており、単独での長期的効果は限定的とされています。
つまり――
「動きの再構築」なくして、真の回復や改善は見込めない。
そう言っても過言ではないのが、今の医療・リハビリテーションの共通認識です。
7. 整体りびるどは「一緒に整えていく」整体です
当院では、施術で整えるだけで終わることはありません。
身体の構造と感覚を“正しい位置”に戻し、そのうえで
- ご本人の「感覚のズレ」に気づいてもらい
- 呼吸や姿勢、関節の滑らかな動きを再教育し
- 日常動作の中で“使える身体”を再構築していく
ことを目指しています。
身体を本気で整えたい方へ。
受け身の施術ではなく、
“自分の身体を、自分の力で取り戻していく”
そんな整体を、一緒につくっていきませんか?
【引用・参考文献】
- Bannuru RR, et al. OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2019. https://www.oarsi.org/guidelines
- Qaseem A, et al. Noninvasive treatments for acute, subacute, and chronic low back pain: A clinical practice guideline from the American College of Physicians. Ann Intern Med. 2017.
- Genevay S, et al. Lumbar spinal stenosis. Lancet. 2010.
- Page MJ, et al. Manual therapy and exercise for adhesive capsulitis (frozen shoulder). Cochrane Database Syst Rev. 2014.
- Gross AR, et al. Physical therapy management of cervical radiculopathy. J Orthop Sports Phys Ther. 2015.