肩甲骨の動きが悪いと、なぜ肩が痛くなるの?――「肩」だけでは片付かないしくみの話

1. 肩が痛いのに「肩甲骨のせい」と言われるのはなぜ?

「肩が痛くて腕が上がらないのに、肩甲骨を見ましょうって言われたんです」
一見、ピンとこないかもしれません。でも実はそれ、理にかなっています。

なぜなら、肩の動きの6〜7割は“肩甲骨の土台”があってこそ成立しているからです。
肩だけで動いているわけではなく、肩甲骨が“どこにいて”“どう動くか”が肩の快適さに直結しています。


2. 肩甲骨は「浮いている」からこそ大事な存在

肩甲骨は、ほかの骨と関節を持たず、胸郭の上に“乗って”いるだけの骨です。
つまり、**筋肉と筋膜のバランスによって“浮いて支えられている”**状態。

この肩甲骨が、

  • 滑るように動けない
  • 背中から“浮いてしまっている”
  • 胸郭との連動がうまくいっていない

…といった状態では、腕を上げるときに必要な“土台”が不安定になります。
結果として、肩の関節が過剰に動かされて痛みが出ることがあるのです。


3. 肩甲骨の動きが悪いと何が起きる?

具体的には、こんな現象が起こります:

  • 腕を上げたときに、肩がすぐに詰まってしまう
  • 二の腕や肩の前側にピリッとした痛みが出る
  • 肩を回すと“ゴリゴリ”“バキバキ”と音が鳴る
  • 肩甲骨が背中にピタッとくっつかず、浮いたまま動く

つまり、“肩を動かしているつもり”でも、肩甲骨がついてきていない状態です。


4. 「肩甲骨はがし」だけでは足りない理由

最近では「肩甲骨はがし」という言葉が注目されていますが、
実はただ“動かせばいい”という話ではありません。

  • 動かしてもすぐに元に戻る
  • 一時的に軽くなっても根本的に改善しない
  • むしろ筋肉が防御反応を起こして固まりやすくなる

こうしたこともよくあります。
大切なのは、“どう感じて動かせるか”=感覚の再学習です。


5. 「肩甲骨」と「胸郭」「脊柱」はチームで動いている

肩甲骨は、胸郭(肋骨)や脊柱(胸椎)との連動によって自由に動ける構造です。

  • 胸椎が硬くなると肩甲骨が上手く動けない
  • 肋骨が動かないと肩甲骨が滑るように動かない
  • 肩甲骨が不安定だと、首や肩に負担が集中する

つまり、肩甲骨は“中継地点”であり、情報伝達のハブのような存在。
ここの動きが整うと、肩だけでなく首や背中も軽くなることがあるのです。


6. 肩を整えるには“肩甲骨から整える”のが近道かも

肩の不調は、結果として現れているだけかもしれません。

  • 背中が固い
  • 肩甲骨が浮いている
  • 呼吸が浅くなっている
    そんな“小さなズレ”が積み重なると、やがて肩に症状として表れます。

だからこそ、**「肩を治す」より「肩が働きやすい環境を整える」**ことが大切なんです。

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな40歳。

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