1. 腰の不調は“腹圧の低下”から始まっている?
腰が痛くなったとき、まず思い浮かべるのは「腰椎」「骨盤」「筋肉」など。
でも見落とされがちなのが、“腹圧”という内側からの支えです。
腹圧とは、お腹の中にかかる圧力のこと。息を吐いたときに自然にかかるこの圧力が、実は腰の安定に大きく関わっています。
もしこの腹圧が抜けてしまうと――背骨の支持力が下がり、椎間板や筋肉に過剰な負担が集中してしまいます。

2. 腹圧とは?どうやって生まれるの?
腹圧は、いわば“内側から背骨を押し支える空気の柱”。
呼吸によって横隔膜が下がり、骨盤底や腹横筋、多裂筋が連動して働くことで、お腹の中の圧が高まり、体幹が安定します。
この仕組みは「インナーユニット」と呼ばれ、体幹の深部で“姿勢の土台”を支えているのです。
3. 腹圧が抜けるとどうなる?
腹圧がうまくかからないと、背骨の安定性が低下し、周囲の筋肉が“がんばりすぎる”状態になります。
- 腰椎が不安定 → 椎間板や関節にストレス
- 表層の筋肉が過緊張 → 腰が固くなる
- 腹部に力が入らず → 支えのない腰を“反り”で代償
結果、慢性的な腰痛やぎっくり腰のリスクが高まるのです。
4. なぜ腹圧が抜けてしまうのか?
日常生活で腹圧が低下する要因には以下のようなものがあります:
- 浅く速い呼吸の習慣(肩呼吸)
- 骨盤の後傾や肋骨の開き
- 腹筋群の緊張や脱力によるアンバランス
- 長時間の座位や運動不足による体幹機能の低下
また、妊娠出産後や長年の運動不足でも、インナーユニットの協調性は崩れやすくなります。
5. 腹圧と腰の支え感覚を取り戻すには?
▼ ポイント①:呼吸で腹圧を“感じる”
- 椅子に座って軽く背筋を立てる
- 鼻から吸って、口から長く吐く(フーッ)
- 吐くときに“おへその奥が引き込まれる”感覚を意識
→ 横隔膜と腹横筋が協調しやすくなります。
▼ ポイント②:重心と骨盤を整える
- 骨盤を立てて座る or 立つ(坐骨 or 踵重心)
- 足裏〜骨盤〜肋骨の“縦のライン”を感じる
→ 支持構造が安定すると、腹圧がかかりやすくなります。
▼ ポイント③:脱力の中に“支え”を見つける
- 力んで腹圧を高めようとせず、自然な内圧を丁寧に再学習する
- 無理のない呼吸と姿勢で“支えられている感覚”を探る
6. 腹圧が整うと腰だけでなく全身が変わる
腹圧が働くことで、腰の支えが安定するだけでなく、
- 肩の力が抜けやすくなる
- 呼吸が深まり、自律神経が安定する
- 骨盤・背骨・頭部のアライメントが整いやすくなる
- 内臓の位置も整い、圧迫や不快感が減る
つまり、“腰を守る”だけでなく、“全身をつなげ直す”役割を担っているのが腹圧なのです。
7. 「腰を守る」は、「内側から支える」こと
腰椎椎間板症や慢性腰痛で悩む人ほど、外側(筋肉)に頼ろうとしてしまいがちです。
でも本当に必要なのは、“内側から支えられている感覚”を取り戻すこと。
それが腹圧であり、呼吸と構造と感覚が統合された“支えの土台”なのです。
腰に違和感を感じたときほど、腹圧を思い出してみてください。
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