1. 変形性股関節症ってどんな病気?
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、関節の形が変形したりすることで痛みや可動域の制限を伴う疾患です。
先天的な股関節形成不全を持つ方や、40代以降の女性に多く見られます。
進行すると立ち座りや歩行が困難になることもあり、日常生活への影響が大きい病気です。
2. どんな症状が出る?
- 股関節の付け根が痛い(特に足のつけ根やお尻)
- 歩き始めや立ち上がるときに痛みを感じる
- 靴下が履きづらい、足の爪が切りにくい
- 左右の足の長さが変わったように感じる
- 片脚に体重をかけると違和感がある
こうした症状が日常的に出るようになってくると、変形性股関節症の可能性があります。
3. 原因は“加齢”だけじゃない
変形性股関節症は「年のせい」と片付けられることもありますが、実際には構造的・力学的な要因が大きく関わっています。
- 先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全などの形状異常
- 長年の使い方の偏り(利き脚に頼りがちなど)
- 体幹や骨盤の不安定性による“代償的な負担”
つまり、加齢だけでなく「どう動かしてきたか」「どう支えてきたか」が、発症に影響しているのです。
4. なぜ股関節は“感じにくい”のか?
股関節は骨盤の奥深くにあり、皮膚から直接触れることができないため、**“感覚的に捉えにくい関節”**でもあります。
そのため、ズレていても気づきにくく、間違った動き方や支え方が“クセ”として定着してしまいやすいのです。
また、股関節は「立つ・歩く・しゃがむ・階段昇降」などの基本動作すべてに関与しているため、1つの感覚エラーが全身の不調へと波及していくこともあります。
5. 股関節が崩れると、身体のバランスがどう変わる?
股関節が硬くなったり、痛みがあると、多くの人は無意識のうちに**“かばう動作”**を始めます。
- 骨盤が後傾して腰が丸まる
- 反対側の脚に体重を逃がす
- つま先や膝の向きがズレる
これらの“微細な補正”が積み重なると、結果として背骨や膝、足首などに“余計な負担”がかかるようになります。
つまり、股関節の問題は**“全身の連鎖的な歪み”**に直結しているのです。
6. ケアの基本は“支え方”の再学習
股関節のケアで大切なのは、「動かす」ことと「感じる」ことの両立です。
▼ ポイント①:骨盤と股関節の“関係性”を整える
→ 骨盤を安定させた上で股関節がスムーズに動くことが重要
▼ ポイント②:足裏〜股関節の“支持感覚”を再構築する
→ 片脚立ちや重心移動時に、足裏と股関節が連動する感覚を育てる
▼ ポイント③:“反射的な代償”を止める
→ 痛みをかばって“逃げる動き”を繰り返すと、悪循環に
→ 正しい姿勢・重心位置での“安心して動ける環境”が大事
7. “痛み”の正体は、身体からのメッセージ
痛みは、悪いものではありません。
「そこに無理がかかっている」「もう少し整えてほしい」
という身体からのサインです。
変形性股関節症も、“形”の変化よりも
“動き方”や“感じ方”のズレの方が、痛みに直結することがあります。
まずは自分の立ち方・歩き方・重心のクセを丁寧に見直してみましょう。
それが、“整える力”を呼び戻す第一歩になります。
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