変形性股関節症の本当の原因とは? ― 「股関節だけ見ていても治らない」理由を理学療法士が解説

股関節の違和感に悩む中年の日本人女性が、屋内で片脚を軽く押さえながら立っている様子の写真

1. はじめに:股関節の痛みに悩むあなたへ

「変形性股関節症」と診断されたとき、多くの方は「股関節そのものが悪い」と考えてしまいます。もちろん、軟骨のすり減りや変形があることは事実かもしれませんが、それがすべての原因でしょうか?

実は、股関節に痛みが出ているからといって、原因がすべてそこにあるとは限りません。特に松本市や安曇野市のように自然豊かで坂道や階段が多い地域では、日常動作に潜む“見えない負担”が股関節に蓄積していることも。

今回は、変形性股関節症の「本当の原因」と「整え方」について、少し視野を広げてお話ししていきます。

2. 痛みの出ている場所と“原因の場所”は違うこともある

身体の痛みには“連鎖”があります。股関節に痛みがあっても、それは「結果」であって「原因」ではないことが多いのです。

たとえば、

  • 足関節の動きが悪いと、荷重のバランスが崩れます。
  • 膝関節がねじれていれば、その上にある股関節が補正運動を強いられます。
  • 骨盤や腰椎が硬くなっていれば、股関節の本来の可動範囲が制限されます。

こうした“構造のズレ”が連鎖すると、最終的に股関節に痛みや違和感が出てくるのです。

特に中高年層の方の身体には、歩き方や立ち方のクセが蓄積しやすく、それが股関節周囲への慢性的なストレスにつながります。
日本の地域在住高齢女性を調査した研究では、股関節の外転筋=中殿筋の筋力低下が、膝関節痛の影響に関係していることが示されました(高齢女性227名のうち、膝痛なしグループと比較して統計的に有意)m-seikei.netjstage.jst.go.jp

3. まず整えるべき“股関節以外の部位”とは?

では、股関節以外のどこから整えるべきなのでしょうか?

足関節

  • つま先重心、または外側荷重のクセ
  • 足首が硬いことで、衝撃をうまく吸収できず上へ波及

膝関節

  • O脚やX脚気味の方は、膝のねじれが常態化
  • 股関節に“内旋・外旋”の負担が生じる

脊柱・骨盤

  • 骨盤が前傾・後傾のいずれかに偏っていると、股関節の滑りが悪化
  • 特に椅子に浅く腰かける習慣がある方に多く見られます

つまり、“支える部分”が安定していないと、“動かす部分”である股関節にしわ寄せがくる、ということです。

4. 股関節本来の機能を知る:6方向の動きと協調性

股関節の動きは大きく6方向に分類できます:

  • 屈曲(前に曲げる)
  • 伸展(後ろに伸ばす)
  • 外転(横に開く)
  • 内転(内側に閉じる)
  • 外旋(外にひねる)
  • 内旋(内にひねる)

この6方向すべてがスムーズに連動してこそ、本来の“なめらかさ”が生まれます。特に、腰椎や骨盤との連動性は極めて重要。

たとえば、スクワット動作一つとっても、

  • 腰椎の安定
  • 骨盤の前後傾
  • 股関節の屈曲と外旋

これらすべてがうまく調和してはじめて、「関節を痛めない動き」になります。

5. だから「筋トレだけ」では痛みは改善しない

自宅の室内でスクワットをしている若い日本人女性の写真。股関節の使い方を意識している様子。

よくあるアプローチとして、

  • ブリッジでお尻を鍛える
  • スクワットで下肢全体を鍛える

といった筋トレがあります。もちろん、間違ってはいません。しかし、それだけで根本的な改善につながらないケースは非常に多く見受けられます。

大前提として、動かすための関節が正しい位置にあり、正しい順序で協調的に動いているか

これがなければ、せっかくのトレーニングも「股関節の負担を増す結果」にしかなりません。

6. どこから整えるべきか? ― 身体全体からのアプローチ法

当院の施術では、

  • 足部3点支持(母趾球・小趾球・踵)の感覚入力
  • 足関節と膝関節の協調性評価
  • 骨盤の前後傾・回旋・傾斜のバランス調整
  • 呼吸との連動による体幹安定化
  • 最後に股関節の6方向の動きと筋出力を丁寧に評価・促通

といった順序で、あくまで“全身の再構築”を目指しています。

特に松本・安曇野エリアに住む方は、坂道や階段のある生活環境が多いため、こうした機能的な調整を行うことで日常生活での股関節の負担軽減が見込まれます。

7. おわりに:あなたの身体は、まだ取り戻せる

変形性股関節症という言葉を聞くと、「もう治らない」と思ってしまう方が多くいらっしゃいます。

「ああ、自分はいつか手術をしなくてはいけないかもしれない…」
そんな風に悲観的になってしまう方も少なくありません。

けれど、実際には“変形”そのものを完全に戻すことは難しくても、股関節の動きそのものは整えることが可能です。
逆に言えば、動きを変えずに手術をし、痛みが取れたとして…ずっと痛みの出ない股関節でいられる保証はありますか?
動きの質が変わっていなければ、股関節にまた同じ負担を強いることになります。
せっかく手術をしたのにしばらく経ったらまた股関節が痛くなった、なんて自体になったらがっかりしてしまいますよね。

それならば、痛みを取るだけでなく、「動ける身体に戻していく」ことを目標にしてみませんか?
5年後、10年後のあなたの未来は、かならず良い方向へ向かっていくハズです。

松本市や安曇野市のように自然が豊かで歩く機会も多い地域だからこそ、ご自身の身体としっかり向き合うことで、日常の快適さは大きく変わってきます。

自分の身体です。自分で大切にしていかなければいけません。まずはご自身の身体の“声”に、ぜひ一度耳を傾けてみませんか?

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな40歳。

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