股関節の違和感…実は「足首・骨盤」が原因?今すぐできるチェックポイントを理学療法士が解説

屋内で立った状態の日本人女性が、股関節から太ももにかけて軽く手を添えながら違和感を確認している様子の写真

股関節の違和感、実は「足首や骨盤」が原因かも?身体全体から見直すためのチェックポイントを理学療法士が解説

1. はじめに:”股関節”のせいにしていませんか?

「最近、股関節がなんだか詰まる」「朝立ち上がるときに痛い」――そんなお悩み、ありませんか?

松本市や安曇野市で整体を探している方の中にも、股関節の痛みや違和感を抱えている人は少なくありません。

「歩くと股関節が痛む」「立ち上がるときに詰まるような感じがある」「何となく左右差を感じる」――そんなとき、つい“股関節そのもの”に問題があると思い込んでしまうのは自然なことです。

しかし実際には、足首・膝・骨盤・腰椎など、ほかの関節や部位の”小さなズレ”が積み重なって、最終的に股関節に痛みとして表れているケースも多くあります。

この記事では、そうした”原因の連鎖”を丁寧に読み解きながら、股関節の違和感を根本から見直すための視点をお届けします。


2. “足首”の動きが股関節に与える意外な影響

股関節と足首。一見遠く離れた部位のようですが、実は「動作のつながり」という視点では密接な関係にあります。

足首の役割は、歩行時の衝撃を吸収したり、蹴り出しの際のバネになること。

しかし、

  • 足首が硬い
  • 外側荷重(小指側に重心)
  • つま先に偏った重心

といった状態では、足首本来のクッション機能が働かず、結果としてその負担が膝や股関節へと波及していきます。

特に、踵でしっかり着地し、つま先で自然に蹴り出すという“歩行の基本”が崩れている方は要注意です。

実際、足部の可動性の低下が股関節痛のリスクを高めることが、複数の研究でも指摘されています(Lundgren et al., 2008)。


3. 膝関節のねじれが“股関節の違和感”を引き起こす理由

片膝に手を当てながら立ち止まり、膝のねじれや違和感を確認する若い日本人女性の写真

膝関節は、構造的には“蝶番関節”と呼ばれ、基本的には曲げ伸ばしに特化しています。しかし、

  • O脚・X脚の傾向がある
  • 階段昇降で膝が内側or外側にブレる
  • 歩行時に膝が正面を向かず、内旋・外旋している

といったクセがあると、膝のねじれが生じ、それを“補正する動き”が股関節に求められるようになります。

つまり、膝が正しい軌道で動かないことで、股関節に余分な回旋ストレスがかかるというわけです。

膝をチェックする簡単なポイントとしては、

  • 靴底の減り方に左右差があるか?
  • 歩くとき、膝のお皿がつねに正面を向いているか?
  • スクワット時に膝が内側へ入らないか?

などが挙げられます。

膝のアライメント不良は股関節の運動パターンを乱すという報告もあり(Ferber et al., 2010)、膝のわずかなブレが、股関節の違和感に影響している可能性は十分にあるのです。


4. “骨盤”の傾きが股関節の可動域を制限する

骨盤は、股関節の土台であると同時に、全身のバランスを保つ“中心軸”でもあります。

とくに問題になりやすいのが、

  • 骨盤が後傾している(猫背傾向)
  • 骨盤が前傾しすぎている(反り腰傾向)
  • 片側の骨盤が高くなる左右差(脚長差)

といった状態です。

  • 骨盤後傾では、股関節の伸展がしづらくなり、歩幅が小さくなりやすい
  • 骨盤前傾では、股関節が常に屈曲気味となり、鼠径部に張り感が出やすくなる

また、骨盤の傾きが左右で違うと、片側の股関節だけにストレスがかかり、いわゆる「片側だけの股関節痛」が慢性化してしまうことも。

骨盤の位置と股関節の運動パターンは密接に関係していることが、姿勢制御研究からも明らかにされています(Lewis et al., 2007)。


5. 痛みの出ている場所と“原因の場所”は違うこともある

多くの人が見落としがちなのは、**「痛みの場所=原因の場所ではない」**という視点です。

例えば、

  • 股関節の可動域が制限されているのは、実は足首の硬さのせいだったり
  • 股関節のつまり感があるのは、膝のねじれを補うための代償動作だったり

原因が“別の場所”にあることは、臨床ではむしろよくあることです。

だからこそ、股関節の痛みに対して“股関節だけ”をケアしても、十分な変化が出ず、症状改善に繋がらないことがあるのです。

施術でもセルフケアでも、「なぜそこに痛みが出ているのか?」を、全身の動きや姿勢のつながりから再評価していくことが非常に重要です。


6. 筋トレだけでは改善しない?

「股関節が痛いなら、筋肉を鍛えましょう」と言われたことがある方も多いのではないでしょうか?

たしかに筋力低下は、股関節に負担をかける大きな要因のひとつです。

しかし、“筋トレだけ”で股関節の痛みや違和感が改善するとは限りません。

なぜなら、筋肉は「正しく動ける状態」があってこそ、機能的に発揮されるからです。

  • 骨盤の位置が崩れている
  • 股関節の内旋・外旋が出ていない
  • 膝や足首の動きが協調していない

状態では、むしろ代償動作が強くなり、痛みが悪化することさえあります。

大切なのは、筋力×関節の可動性×神経-筋協調性を同時に整えること。

「正しく動ける身体」になって初めて、筋トレの効果も活きてくるのです。


7. おわりに:いま、見直してほしい3つのチェックポイント

最後に、股関節の違和感がある方に向けて、「今日から見直せる3つの視点」をまとめます。

足首の柔軟性と荷重位置
踵〜つま先の重心移動がスムーズか?地面をつかむ感覚があるか?

膝の軌道と左右差
歩行時や階段昇降で、膝が正しく前を向いて動いているか?

骨盤の傾きと左右差
立位や座位で、骨盤がどちらかに傾いていないか?

これらを見直すだけでも、股関節にかかる負担が軽減され、痛みや違和感の改善につながることが多くあります。

「原因は、意外なところにあるかもしれない」――

そう意識することが、股関節の健康を守る第一歩になるかもしれません。

あなたの身体は、ちゃんと理由があって違和感を出しています。
その声に、丁寧に耳を傾けてあげてくださいね。

股関節の違和感について、もっと詳しく知りたい方は、
こちらの記事もおすすめです👇


🔬 参考文献

  1. Lundgren P. et al. (2008). “Kinematic analysis of the foot during walking using a multi-segment foot model”. Journal of Biomechanics
  2. Ferber R. et al. (2010). “Kinematic and kinetic comparison of overground and treadmill running”. Clinical Biomechanics
  3. Lewis CL, Sahrmann SA. (2007). “Acetabular labral tears”. Physical Therapy

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな40歳。

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