腹圧が抜けると腰が痛くなる?――インナーユニットと腰の支え方

1. 腰痛と“腹圧”の意外な関係

腰痛の原因といえば、筋力低下や姿勢の悪さ、骨の変形などがよく挙げられます。
でも実は、“腹圧”が抜けていることで腰が支えられず、痛みを引き起こしているケースが多いのです。

腹圧とは、腹腔内の圧力のこと。呼吸や体幹の筋肉群によって内側から高まるこの圧力が、腰椎を安定させ、過剰な負担を防いでいます。


2. インナーユニットって何?

インナーユニットとは、体幹を支える深層筋群の総称です。

主に以下の4つで構成されます。

  • 腹横筋(腹部の最深層にあるコルセット筋)
  • 多裂筋(背骨を細かく支える深部筋)
  • 横隔膜(呼吸をつかさどるドーム状の筋肉)
  • 骨盤底筋群(骨盤の底を支えるハンモック状の筋肉)

これらが連携することで、腹圧が適切に保たれ、腰椎の前弯(自然なカーブ)が維持されるのです。


3. 腹圧が抜けると何が起こる?

腹圧が抜けると、腰椎を支える内側の支柱が不安定になります。

本来は腹圧によって支えられるべき負担を、表層筋(脊柱起立筋群や腹直筋)が代償し、過剰な緊張や疲労を招きます。

さらに、腰椎が前方へ押し出されやすくなり、椎間板や椎間関節に過度なストレスが集中します。
その結果、慢性的な腰痛や腰椎椎間板ヘルニア、椎間関節症といったトラブルが生じやすくなるのです。


4. 日常生活で腹圧が低下する場面

  • デスクワーク・長時間の座位
    猫背姿勢や骨盤後傾姿勢では、腹横筋や多裂筋が適切に働きません。
  • 重い物を持ち上げるとき
    腹圧をかけずに腰を反って持ち上げると、腰部への局所負担が増します。
  • 呼吸が浅い・止めがち
    横隔膜が硬くなり、腹腔内圧を十分に高められない状態です。

こうした“日常のクセ”が積み重なり、腰痛リスクを高めていることは少なくありません。


5. 腹圧を高めるための感覚づくり

腹圧を意識的に高めるためには、筋トレ以前に感覚の再学習が重要です。

  • 呼吸と連動してお腹の奥が膨らむ感覚をつかむ
  • 骨盤底の引き上げ感覚を意識する
  • 背骨を天井方向に引き上げる意識で体幹を整える

こうした感覚が育つと、自然とインナーユニットが協調して働き、内圧を高めやすくなります。


6. 簡単なセルフケア例

  • ドローイン呼吸(腹横筋活性化)
    仰向けで膝を立て、鼻から息を吸い、口からゆっくり吐きながらお腹を薄く引き込む。
  • 骨盤底筋引き上げ
    椅子に座り、肛門をキュッと締める感覚を数秒キープ。
  • 横隔膜リリース
    深呼吸を繰り返し、肋骨周囲の動きを柔らかくする。

これらを日常的に取り入れることで、腹圧の土台が整いやすくなります。


7. 腰は“全身のつながり”で守られる

腰痛は、腰単独で生まれるわけではありません。

インナーユニットの働き、呼吸、姿勢、重心の感覚といった全体のつながりがあって初めて、腰は安定します。

「筋力がないから腰が弱い」ではなく、
「感じ方や支え方を忘れているから腰が不安定」なのかもしれません。

まずは自分の身体の感覚に丁寧に耳を傾けること。
それが、腰痛改善の第一歩になります。

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など、あなたの「健康を見つめ直すヒント」になるような記事を、これからも書いていきます。

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな40歳。

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