ども。
武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。
肩の痛みや足のしびれなんかで病院に行くと、
この肩の痛みは、首からきてるっぽいねー。
とか、
この足のしびれは、腰からきているねー。
とか言われた経験ある方、少なくないと思います。
これ、どういうことだろうなーって思いませんか?
実は先日、リハビリをやっている患者さんから質問を頂きました。
ということで、今回の記事ではそのあたりのコトをお話しようかと思います。
『首からくる』『腰からくる』の意味が分かれば、自分自身の病態も理解しやすくなり、症状の緩和に繋がる糸口を探しやすくなるかもしれません。
神経は背骨の隙間から出ている
今までの記事でも度々出てきましたが、これが背骨。正式名称は脊柱です。
上の7つが頸椎、その下の12つが胸椎、その下の5つが腰椎、そして仙骨、尾骨となります。
お医者さんとかはよく略称で呼んだりしていて・・・
Cは頸椎、Tは胸椎、Lは腰椎のコトを指しています。
Cの3から5がつぶれてるねー。
って言っていたら、椎間板がペチャンコになって第3~5頸椎がくっついているような状態、
L4、L5間が狭くなってるなー。
って言っていたら第4腰椎と第5腰椎の間隔が狭くなっているような状態を指しています。
で、私たちの手や足を動かしてくれる神経、感覚を感じさせてくれる神経というのはこの背骨ひとつひとつ(椎骨)の間から出ているんです。
これは頸椎を後ろから見た写真。
○○神経根、とかって書いてあると思いますが・・・
言葉のごとく、神経の根みたいなものが全身に伸び行き届いていることで、我々は自由に手足を使い、様々な感覚を感じることができるんです。
神経根症状って?
先ほどの写真を見てください。
例えば
第4頸椎と第5頸椎の間からはC5神経根が出ていますよね?
この神経根から伸びている神経が支配している筋肉のひとつに三角筋があります。
なので、仮に第4頸椎と第5頸椎の間が狭くなって、そこから神経が圧迫されると
三角筋の筋力が低下したり、この付近に痛みやしびれが出たりします。
こういうのを神経根症とか、神経根症状とかって言います。
神経の分岐はすごく複雑
ただ、神経根から先の神経の分岐というのは非常に複雑で、
○○筋に痛みやしびれが出てるから〇神経根が圧迫されているからだ!
と、一か所の神経の圧迫に断定できるわけでもないんです。
首にしても、腕にしても、腰にしても・・・
○○神経叢という複雑な分岐がありまして(学生時代、ホント覚えるのが苦痛でした 笑)。
たとえば腕神経叢。
腕の周りの神経だけでも、こんなに細かく分岐してるんですねー。
嫌ですねー、見ただけで目が疲れてきますねー。
で、それぞれの神経の枝が様々な筋肉を支配しているワケです。
あ、もちろん一般の方がこんなのを覚える必要は全く無くて。
要するに、
ひとつの筋肉であったとしても複数の神経根から出た枝によって支配されているものも多い
ということだけざっくり知ってもらえれば十分かな、と。
神経根症状の部位を判断するのに便利なモノ
このカラフルなヒトは、デルマトームさん。
いや、名前ではありません。
デルマトーム、日本語に訳すと皮膚文節知覚帯とかって言います。
それぞれの場所に数字が書いてありまして、その数字が神経根を表しています。
さっきのC5神経根が圧迫されたら、図の中のC5の部分に症状が出るというコト。
スネの外側あたりがしびれたり、感覚が鈍いなーって感じてて、先生に
このしびれは腰からきてるねー。
って言われたら、第4腰椎と第5腰椎の間から出ているC5神経根が圧迫されているねーって言っていることが多いと思って良いです。
デルマトームの図、理解しちゃうと分かりやすいですよね。
おわりに
ストレートネックや猫背がひどくなると、それだけ脊柱も曲がってきます。
正しい位置から逸脱して曲がるというコトは、それだけ神経を圧迫しやすい状態になるというコト。
肩が痛い、足が痛いという悩みがあったとして、それが神経根症状であったならば
いくら肩や足を揉んだり動かしたりしても症状は改善されません。
注射や薬の力を借りて一時的に症状を緩和したところで、それはあくまで一時的。
神経の圧迫を何とかしない限り、症状の根治療は難しいと言わざるを得ません。
ある程度の症状までであれば運動療法等で対応することは可能ですが、骨性の変形でどうしようもなくなってしまえばそれこそ手術しか解決策はなくなってしまいます。
そうなる前に、
ちょっと姿勢が悪いだけだし…運動とか面倒!
なんて考えず、自分の姿勢、自分の脊柱の機能に目を向けてもらえたらと思います。
では、今回はこのへんで。