病名の捉え方

ども。

武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。

今回は、ちょっとした考え方の話。

内容的には大したことないかも知れませんが・・・

自身の症状を捉える上で

個人的にはけっこう大事な部分だと考えています。

で、何の話かというと

病名の捉え方

についてです。

ん?どゆこと?

と思う方は是非最後までお付き合い頂ければと思います。

目次

病名は『原因』か『結果』か

病院で患者さんのお話を聞いていると

『変形性膝関節症』だから膝が痛くてね・・・

とか

『肩関節周囲炎』だから肩が上がらないんだよ

というような表現をする方が非常に多く見受けられます。

『疾患名』があるから○○が痛い・・・

こういう表現されている方は

疾患名を『原因』と捉えているケースがほとんど。

変形性膝関節症があるから痛い、

肩関節周囲炎があるから痛い、

椎間板ヘルニアがあるから痛い、

脊柱管狭窄症があるから痛い・・・。

でもね、これ、じつはおかしな話なんです。

疾患名っていうのは、身体の構造的な変化を明確に区別するためにつけるもの。

『腰痛』

だけじゃざっくりしすぎて具体的にどんな腰痛か分からないですもんね。

治療方針もあったもんじゃない。

長い間、運動もせずに腰が曲がった変な姿勢で過ごしていた。

段々と腰が曲がって硬くなって、周りの筋肉や関節が上手く機能しなくなってきた。

そしたらいつしか脊柱管が細くなって、神経を圧迫するようになってきた。

段々と痛みやしびれが強くなってきた。

・・・。

『脊柱管狭窄症』という疾患名がついた。

あくまで一例ですが・・・

脊柱管狭窄症という診断名が付くまでに辿りがちな道筋です。

どうでしょう?

このケースの場合、『脊柱管狭窄症』という疾患名は

『原因』でしょうか?『結果』でしょうか?

そう、

疾患名というのは実は、結果でしかないんです。

なぜ『原因』という捉え方が好ましくないか

別に、疾患名が『原因』だろうと『結果』だろうと大差はないだろう・・・

こんな風に思う方もいるとは思いますが、

けっこう差があります。

なぜか。

疾患名を『原因』と捉えている方は

原因』を治すことばかりに意識を向けがちになるからです。

膝が痛いのは『変形性膝関節症』があるから。『変形性膝関節症』という原因を治すことができれば、膝が痛いのも良くなるハズだわ。

こういう思考のヒトは、軟骨成分の入ったサプリメントを飲んだり、痛み止めの注射を打つことに躍起になったりします。

変形性膝関節症を治すために。

ケースによっては症状が軽減したり、あたかも治ったように感じる事もありますが・・・

これって結局、根本の解決には至ってないんですよね。

だから結局また痛くなる。

我々理学療法士としては

普段から正しい姿勢で生活していなかったから、膝に負担がかかって『変形性膝関節症』になっちゃったわ。症状を改善するためにはしっかりと筋肉を使ったり関節を動かしたり、出来るだけ膝に負担をかけない姿勢や動作を身に付けないと。

ホントならこんな風に捉えてもらいたいなーって。

疾患名を『結果』として捉える考え方です。

こういった思考であれば

どうやっていけば症状を軽減できるのか

という道筋を理論立てて考えていけます。

もちろん、持ち前の知識や技術を駆使しながら、その道筋をエスコートしていくのが我々理学療法士の仕事であることは言うまでもありません。

疾患名なんて結局、とってつけたようなもの

・・・まぁ、この言い方はちょっとアレですが、

あくまで疾患名は疾患名でしかない

ということ。

変形性○○

ってあるじゃないですか、膝とか股関節とか首とか。

膝なんかは特に言えることですが・・・

加齢とともに多くの人の関節は多かれ少なかれ変形してきます。

で、痛みとかっていうのも実は人それぞれ。

80代でちょっと膝が変形しているだけなのに、痛みで歩くのがやっとのヒトがいれば

90代、変形自体はかなりのもののはずなのに痛みはなく、活動的に過ごしているヒトも。

2人で整形外科を受診してレントゲンを撮ったとしたらおそらく、

90代の方の方が重度の変形性関節症と言われるでしょう。

痛みは全く無いのに、です。

おそらく、痛みを生み出している原因は2人とも別の部分にあるハズです。

介入ポイントは

変形性膝関節症かどうか

ではなく、

痛みを生み出している因子は何か

ということ。

リハビリをする理学療法士、作業療法士はもちろんですが

患者さん自身も正しく病態を知ることで

症状改善につながる可能性を高めることができます。

おわりに

言ってみれば今回の記事は

言葉遊びの延長線

みたいなもの。

でも、捉え方、考え方を変えるだけでもリハビリの効率も良くなりますし、症状が改善した後の自身のセルフケアにおいてのモチベーション維持に繋がります。

ちょっとだけでも、

頭の片隅に置いておいてもらえると嬉しいです。

では今回はこの辺で。

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな39歳。
臨床年数に胡坐をかくことなく、日々知識と技術のアップデートに邁進しています。
健康に関する情報やリハビリに関する情報、勤務する武内クリニックに関する情報などをブログで不定期に発信していきます。

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