膝の骨が変形して、軟骨がすり減っていますね。これは手術をしないと治らないと思いますよ。とりあえず膝周りの筋力をしっかりつけましょう。筋トレをしっかりやってください。
膝の痛みで整形外科を受診して、先生にこういった診断をされた経験があるという方は少なくないと思います。
でも。
- そうは言うけど痛くて筋トレなんて中々できない。
- 言われた通りに筋トレをやっているけど痛みは全然減らない。
- そもそもちゃんとした膝の筋トレというのが良く分からない。
こんな風に思っている人が大多数なんじゃないでしょうか?
今回の記事はそういった方々に読んで頂きたいと思って書いてみました。
この記事を読んだから膝の痛みが完治する、なんてことはもちろんありません。ただ、自分の膝の痛みをどう捉えて、どう付き合っていくかという部分を考える上では多少なりとも役に立つ内容になっていると思います。
良かったらお付き合いください。
変形性膝関節症のこと、ちゃんと知っていますか?
皆さんは変形性膝関節症について、どのくらい詳しく知っていますか?
痛くて夜も眠れないくらいに悩んでいるのに、意外と
- 膝の関節が変形している
- 膝の軟骨がすり減っている
これくらいの情報量しか持ち合わせていない人も多いんじゃないかと思います。
本気で痛みを何とかしたいのであれば、変形性膝関節症についてもう少し詳しく知っておきましょう。
変形性膝関節症とは
まずは定義的なお話。最初はちょっとだけ堅苦しいですが…ちゃんと病態を理解しておくという事は大切なことなんです。面倒がらずにちょっとだけお付き合いくださいね(笑)
定義的な部分はこんな感じ👇です。
男女比1:4で女性に多く見られる膝の疾患。主な症状は膝の痛みと、膝に水が溜まること。
原因は関節軟骨の老化によるものが多く、肥満や遺伝、怪我などが原因で生じる。加齢によるものでは関節軟骨が弾力性を失い、すり減って、関節が変形していく。
診断はレントゲンやMRI画像から判断する。
日本整形外科学会の文面を一部改変
症状の進行度ではざっくりと
- 初期:動き始めに痛いが歩いているうちに痛みが引いていく
- 中期:正坐や階段の昇降が痛くてできない
- 末期:安静にしていても痛い、少し歩いただけでも辛い
このように分けられます。
ちなみにここまでは病院で一般的に説明される内容。
実際には膝周囲で骨や膝の軟骨(正しくは半月板)以外でも構造的な変化が生じています。
具体的には、
- 太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が縮んで硬くなっている。
- 太ももの後ろの筋肉(ハムストリングス)が縮んで硬くなっている。
- 膝のお皿(膝蓋骨)の周りの組織(関節の嚢や膝周りの脂肪)が硬くなっている。
細かく言えば他にも沢山ありますが、比較的多いのはこの辺り。
実際には、膝の痛みを生じさせている原因は骨や軟骨の問題よりもこういったそれ以外の部分の問題からきているケースというものが非常に多いです。
ちなみに、変形性膝関節症は退行変性疾患のひとつとして考えられています。
要するに、ちゃんとケアしていかないとどんどん症状が進行していく疾患だよ、ということ。診断を受けたからと言って必要以上に怖がる必要はありませんが、膝のケアの仕方、使い方によってはどんどん痛みが強くなる可能性があるため自身で上手く症状と付き合っていく必要があるという事は覚えておかなくてはいけません。
変形性膝関節症は治るのか
- 関節の変形
- 軟骨のすり減り
こういった構造の変化は注射や薬で治すことはできません。
治せるとしたらそれは手術だけです。
ただ、これは構造を治せるかどうかというお話。膝の痛みはどうすることも出来ないか、と言うとそういうわけではありません。
つまり、
『手術をしなければ構造そのものは治せないけど、リハビリやその他の治療で痛みを減らすことは可能』
ということです。
変形性膝関節症の治療
変形性膝関節症の治療は
- 保存療法
- 手術療法
このいずれかになります。詳細は以下の通り。
保存療法 | 手術療法 |
---|---|
痛み止めの服用 | 残された膝の機能を活かすための手術 |
注射 | 人工関節に置き換える手術 |
杖やサポーター等補助具の利用 | |
リハビリ(物理療法、運動療法、徒手療法) |
変形性膝関節症と診断された場合、症状の進行度や痛みの程度に合わせてこれらの治療法から対応を検討していきます。
すごく痛い、でも手術はしたくない。何とかできないの?
年齢的な問題で手術が難しい、もしくは手術だけはどうしてもしたくない、だけど痛みをなんとかしたい、という人はどうしたら良いのでしょう?
理学療法士という立場からその打開策をお伝えするとしたらやはり、
- 膝周りの筋力を確保する
- 膝周りの柔軟性を確保する
- 足首や股関節の柔軟性を確保する
- 出来る限り膝に負担のかからない姿勢や動作を心掛ける
これらに行き着きます。
というか、これらを蔑ろにして膝の痛みを和らげるのは難しいんじゃないかなと。痛み止めの注射や頓服薬で一時的に症状が和らいでも、おそらくまた痛みがぶり返しますし、それらのみを続けているだけでは膝の変形はどんどん進行していきます。
ただ、痛みが強い時は分かっていてもこういった事を心掛けるのが辛いというもの分かります。
なのですべてを同時に行おうとせず、段階を踏みながら膝のケアをしていきましょう。
まずは膝周りの柔軟性確保が最優先
膝周りが硬いと、それ自体が原因で膝の関節がスムーズに動かせず過剰な負荷がかかり、結果的に痛みを生じさせるという状態になりがち。
関節自体がスムーズに動くようになり痛みが少なくなれば筋トレやその他の動作についても行ないやすくなります。まずは膝周りの柔軟性を確保しましょう。
具体的に必要な要素はと言うと
- 太ももの前側(大腿四頭筋)の柔軟性
- 太ももの後ろ側(ハムストリングス)の柔軟性
- 太ももの内側(内転筋群)の柔軟性
- 太ももの外側(大腿筋膜張筋)の柔軟性
- 膝周り(脂肪体、関節上嚢)の柔軟性
専門的な言葉もあるのでちょっと分かりにくいかも知れませんが、要するに
『膝と太もも周りを全体的に柔らかくする』
ということです。
それぞれストレッチとか色々方法はあるんですが、個人的にオススメなのは
こういうマッサージガンをつかうこと。
ネットや電気屋さんでも数千円で買えるものが色々あるので、こういうのを使って太ももや膝のお皿の周りをまんべんなくほぐすと、かなり柔らかくなって膝の曲げ伸ばしがしやすくなります。
振動刺激っていうのは筋肉を柔らかくするのにけっこう効果的だったりするので、薬や注射で一向に痛みが取れないという方は試してみてもいいと思います。
テラサワもクリニックのリハビリでこういった類のものを良く使用しますが、即効性があって効果も実感してもらいやすいので重宝しています。
使ってみて効果がイマイチだなーと思ったらうちのクリニックを受診してテラサワのリハビリを受けてください。おすすめの使い方のコツなんかもお伝えします(笑)
とにかく膝関節をしっかり曲げ伸ばしする
膝周りが柔らかくなったら、とにかくしっかりと曲げ伸ばしをしましょう。
痛みが出るところまでは無理しないでいいですが、出来るだけしっかりと伸ばして、出来るだけしっかりと曲げるということを心掛けてください。
簡単なことかもしれませんが、膝に痛みがない時であってもしっかりと伸ばす、しっかりと曲げるということをあまりやっていない人というのは非常に多くいらっしゃいます。
仰向けに寝たままでやっても構いません。とにかくしっかりと膝を曲げたり伸ばしたり…回数は少なくても良いので、毎日続けるという事が大切です。
もちろん筋トレも必須
膝の周りを柔らかくして、膝をしっかりと曲げ伸ばししたら筋トレも行いましょう。
- 柔軟性
- 筋力
これらは2つが揃っていないとダメ。
筋トレというのは疲れるイメージがあるので膝痛の人にも敬遠されがちですが、膝周りをほぐしてしっかりと関節運動を行った後なら多少の負荷でも膝が柔らかく使えるハズ。
やりかたはぶっちゃけどんな方法でも構いません。
- 椅子に座って立ち座り
- 手すりにつかまってハーフスクワット
- 座って膝伸ばし運動
どんな運動でもいいので、膝周りの筋肉に力を入れている感覚を感じられる運動を少しずつでいいので行なってみてください。
ちゃんとしたケアを考えるなら専門的な視点は必須
今回は膝の痛みに対する対処についてお話させて頂きました。
とはいえ、結局その人によって痛みの原因が異なっているというのが実際のところなので、出来れば理学療法士のリハビリが受けられる整形外科に足を運び、しっかりと状態を評価してもらうというのが一番だと思います。
医師の視点と理学療法士の視点を上手く組み合わせながら、症状に合った解決策を探していくということが何より大切です。
この記事も含め、ネット上にある情報が必ずしもあなたの症状に当てはまるとは限りません。
もし、膝の痛みにお悩みで松本市にお住まいであれば…武内整形外科クリニックに足を運ぶというのも選択肢のひとつですよ?
…と、最後に軽く宣伝したところで今回の記事はおしまいです。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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