ども。
武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。
今回のテーマは
『膝の痛み』
についてです。
膝の痛みと言うと
高齢者の変形性膝関節症、側副靭帯や前十字靭帯、後十字靭帯の断裂なんかが代表格。
でも、そんな風に疾患名が付いていなくても
そこそこに膝が痛いことってありませんか?
今回の記事では
そのあたりにも触れつつ、膝が痛い時の対処法について考えてみたいと思います。
ご興味があればお付き合いください。
発症理由が明確であればとりあえず病院へ
激しくねじったとか、
激しく打ったとか、
スポーツをしている最中に突然痛くなったとか、
発症理由が明確であるならばまずはとりあえず病院に行きましょう。
発症理由がはっきりしていて急に痛みが強く出現したということであれば、いずれにせよ膝周囲に炎症反応が現れていることがほとんど。
ちょっとクロネになっているだけ、青アザになっているだけ、という程度で痛み自体それほどでもないのであれば冷湿布を張って様子を見るのもアリですが・・・
- 膝の周りが腫れてきた
- 膝の周りに熱感が出てきた
- 痛みが強くなってきた
この辺りの症状が出てきたのであれば早めに病院に行った方がいいです。
仮に大したことない症状だったとしても、病院でもらう湿布と痛み止めの薬は市販のものより良く効くので間違いなく受診しなかった場合と比べて治りは早くなるハズ。
痛みの原因がはっきりしないなら
特に何かしたわけでもないのに膝が痛くなった、
前々から重だるかったんだけど最近はなんだか膝が痛い、
正座やあぐらをかいた後、急に動こうとしたら膝が痛かった、
ちょっと長く歩くと膝が痛くなってくる、
こんな感じで、気が付いたらなんだか膝が痛くなっていた・・・という経験、ありませんか?
痛いんだけど、病院に行くのは気が引けるし…みたいな痛み。
前述したような炎症反応(発赤、熱感、腫脹)がある場合は
まず整形外科へ。
何度も言いますが・・・これが最善。
でも、目立った炎症反応はないよって場合。
その場合は
- 膝のお皿を上下左右に優しく動かす
- ふとももの前と後ろの筋肉を自分の手でマッサージ
- 痛くない範囲で大きく膝の曲げ伸ばし
これらを試してみましょう。
膝のお皿を上下左右に優しく動かす
膝のお皿とは、膝蓋骨のこと。
膝をしっかり伸ばして脱力した状態であれば、膝蓋骨は上下左右にけっこう動くんです。
で、この膝蓋骨は膝の曲げ伸ばしの際にとても重要な動きをしてまして。
膝の周りの筋肉や靭帯が硬くなって膝蓋骨の可動性が低下していると、膝の曲げ伸ばしの運動がスムーズにできなくなり痛みを生じさせることがあります。
なので、膝のお皿をしっかり動かして可動性を出しておきましょう。
ふとももの前と後ろの筋肉を自分の手でマッサージ
膝を曲げる時はももの後ろのハムストリングス、膝を伸ばす時には太もも前の大腿四頭筋という筋肉を使います。
- このいずれかの筋肉もしくは両方が硬くなっている
- このいずれかの筋肉もしくは両方が縮んでいる
こういった場合、膝に痛みが生じやすくなります。
触ってみて硬くなっている筋肉をマッサージ、あるいはストレッチでほぐしたり伸ばしてみましょう。
痛くない範囲で膝を曲げたり伸ばしたり
前述したハムストリングスと大腿四頭筋。
個本的にはこの両者が協調的に働くことで膝の滑らかな動きが作り出されます。
でも、疲労の蓄積や過度な負担など・・・ちょっとしたきっかけでこの両者の協調的な筋収縮が破綻してしまう事があるんです。
そうなると、筋力や可動性には特に問題はないハズなのに膝を曲げたり伸ばしたりすると何だか痛い・・・みたいなことが起きやすくなったり。
膝目立った疾患がない場合であれば、この協調性は大きな関節運動を反復することで整ってきます。
もちろん痛みがある場合、無理は厳禁。
ただ、痛みが気にならない範囲であれば、ゆうっくりと大きく膝の曲げ伸ばしを反復してみましょう。
この3つを意識的に行うだけでも、膝の痛みはずいぶん違うはずです。
膝以外の関節をしっかりと動かす
膝関節というのは、股関節と足関節の間に位置しています。
なので、股関節や足関節が関節可動域、もしくは筋力等が低下して十分な機能を発揮できていないとしたら、膝への負担が大きくなって痛みを生じさせているかもしれません。
そういった影響も考えて、股関節や足関節のストレッチや筋トレも行なってみましょう。
サポーターは選び方が大事
膝が痛い時の対応策にひとつに
サポーターの使用
があります。
痛みが強い時はサポーターを使うのがオススメ。
ただ、どんなサポーターを選ぶかというのはけっこう大事になってきます。
膝が痛い、といって病院に行って
負担を減らすためにサポーターを使いましょう。
と、紹介されるのって
こういう感じじゃないですか?
マジックテープでがっしりホールドするタイプの。
膝が本当に悪いヒトはこれくらいがっちりしたものを使った方が負担が軽減するとは思うんですが・・・
こういうタイプのサポーターって
付け外しが面倒で、ついつい使わなくなっちゃう人も少なくありません。
あと、自己判断でサポーターを購入する方の中には
こういうのを買っちゃうヒトがけっこう多い。
『保温』サポーターって書いてあるから、温まるし膝に良いんだろう…
そういう気持ちも分からなくはないんですが、
保温サポーターの目的はあくまで保温。
膝が痛い時に大事なのは膝周囲の適度な固定性なので保温サポーターでは役不足です。
サポーターをしたけど膝の痛みが全然変わらない!というヒト。
けっこうな頻度でこういった保温タイプのサポーターを使っていたりします。
じゃあどんなサポーターを選べば・・・という話ですが、
まずはこのタイプのものをつけてみましょう。
弾力性のある膝固定用のサポーターです。
がっちりサポーターと保温サポーターの中間、くらいの固定性というイメージ。
ちなみに
似たようなタイプのものは薬局やホームセンターに売っています。
¥500~1500くらいで比較的安価なので、そこまで抵抗感なく買えるハズ。
テラサワの感覚的に
ちょっとだけ膝が痛いヒトから、まあまぁ膝が痛いヒトまで使えて
このタイプのサポーターが一番適応範囲が広い気がしています。
ただ、やはり疾患や症状によって適切なサポーターというものがあるので、出来れば自己判断で決めてしまうより専門家の意見も聞きながら検討してくださいね。
サプリメントは有効なの?
膝の痛みの原因は軟骨成分の低下!このサプリメントを飲めば大丈夫!
・・・よく見かけますよね、こういうの。
実際はどうなんでしょう。
もちろん、全く効果がないというつもりはないですが・・・
正直、気休め的な効果なんじゃないかと。
軟骨成分の低下も、膝痛を作り出している原因のひとつであるということは事実かも知れませんが・・・
多分、主問題はそれじゃない。
膝の痛みを作り出しているのは
もっと力学的な要因がベースになっています。
というかそもそも、
軟骨成分を口から摂取して
どの程度軟骨成分が増えるかという部分についても懐疑的。
ということで、
やっぱりサプリメントに頼るよりも
筋肉や関節を動かすことが結果的に
痛みの軽減につながるんじゃないかなーって。
まとめ
まずは炎症反応の有無を確認することが大切です。
そういった反応が見られず、ある程度膝を動かせるなーという場合は
膝のお皿を動かしたり、太ももの周りを柔らかくしたり、しっかり膝を曲げ伸ばししたり。
ちょっと膝が楽に動くようになってきたなと思ったら、股関節や足関節のストレッチ。
・・・こんな流れで、ちょっとした痛みなら結構消失してしまうと思います。
でもやっぱり痛いなーという場合はサポーターの使用を検討。
いろいろやったけどやっぱり痛いなーという場合は
軽い痛みだったとしてもやっぱり一度整形外科を受診するのがいいんじゃないかと。
ちなみに・・・
今回はあくまで出来るだけすぐにできる対処法についての記事なので筋力面等にはあえてあまり触れていませんが・・・
膝周りの筋力低下は膝の痛みには大きく関係しています。
そもそもの膝周りの筋力が弱かった場合
一旦は痛みが軽減したとしても
間違いなく近い将来、また痛くなります。
ということで・・・
膝が痛いというヒト、痛みが落ち着いたら膝周りの筋トレにも目を向けてくださいね☆
では今回はこの辺で。