腰痛と女性ホルモン

ども。

武内整形外科クリニックの理学療法士テラサワです。

最近クリニックやTwitterなんかで

腰痛に関しての質問を頂く機会が多いこともあって

ブログでも腰痛に関する記事が多くなっている気がしますが・・・

今回も腰痛関連の記事です(笑)

テーマは

腰痛と女性ホルモン

について。

ホルモンが腰痛に関係あるの?と思う方も多いかとは思いますが・・・

この影響は意外と軽視できないんです。

目次

歳を重ねると男女どっちが腰痛になりやすい?

まずは腰痛持ちの男女比を見てみようと思います。

最新データが平成22年というコトで若干古いんですが・・・比率に関しては今も大きく変わらないでしょう。

厚生労働省のこちらのページを参考にして頂ければと思うんですが

20代以降は女性の方が腰痛に悩む方が多いというコトが分かります。

ちなみに80代を過ぎてくると男女ともに半数以上が腰痛を訴えるみたいですね。

それだけ腰痛に悩む人は世の中に溢れかえっています。

というか、このデータだと10代であっても全体の1/4から1/5くらいのヒトが腰痛、というコトになりますが・・・これは本当なんだろうか(苦笑)

テラサワ

ただ、うちのクリニックでリハビリをさせて頂く患者さんに限って言えば、年齢問わず男女差はほとんど感じません。腰が痛いからといって実際に病院に行くかどうか、というのはまた別問題なのかもしれませんね。

女性に腰痛が多い理由

女性に腰痛が多い理由というのは大きく分けて2つ。

  • 筋力の影響
  • ホルモンの影響

これらの影響が大きいとされています。

男女では骨格にも違いがあるんですが、骨格的な差が直接的に腰痛の頻度に大きく関わっているかというと筋力やホルモンの影響ほど明確な性差があるワケではないみたいです。

筋力の影響

何となく

女性は男性より筋肉量が少なそう、というのはイメージしやすいんじゃないでしょうか?

もちろんあくまで一般的な平均値という話ではありますが

比率でいうと5~10%程度、男性の方が筋肉量が多いとされています。

単純に腰の周りや背中周りの筋肉量が少ないから腰痛を生じやすい、というコト。

ホルモンの影響

男性ホルモン、女性ホルモンとかって言葉はよく耳にしますよね。

男性ホルモンと言えば代表格は

テストステロン

いわゆる男らしさを象徴するホルモンで、こいつがしっかり分泌されると筋肉や骨格、精神面をより男らしくしてくれます。

女性ホルモンの代表格は

エストロゲンとプロゲステロン

女性ホルモンがしっかりと分泌されることで女性的な体形を維持し、心身の健康を保ってくれます。

男性ホルモン、女性ホルモンともに加齢に伴って分泌量が減っていき、その影響で心身には様々な影響が現れてくるんです。

で、

女性に腰痛が多くなる原因因子となるホルモンとなるのがそのひとつ、

エストロゲン

だったりします。

エストロゲンて?

分かりやすく言うと、エストロゲンは

女性活き活きホルモン

みたいな感じ。

エストロゲンがしっかり分泌すると

  • 代謝アップ
  • 精神状態の安定
  • 肌の潤いやツヤを維持

というような嬉しい効果が。

ただ、一般的にエストロゲン分泌量のピークは20代

その後分泌量は減少していき、45歳を超えたあたりで急激に少なくなります。

大塚製薬さんのグラフが見やすかったのでお借りしました。

上のグラフにもあるように閉経後は極端に分泌量がすくなくなり、俗にいう

更年期障害

というものが現れやすくなってきます。

認知症、脳卒中、骨折・・・全てにおいて発症リスクが高まっていくんですね。

腰痛とエストロゲンの関係

さて、ではそのエストロゲンと腰痛の関係について。

エストロゲンていうのは、

骨の新陳代謝をコントロール

するような役割があります。

細かい生理学的なメカニズムはさておき、エストロゲンが減少すると骨からカルシウムが溶けだしやすくなり

いわゆる骨粗しょう症になるリスクが高まります

で、骨粗しょう症になると骨がもろくなるために骨折が生じやすくなるんですが・・・

それはもちろん、背骨も例外ではありません。

背骨の骨は構造的に前側への負担がかかりやすいんですが、骨がもろくなってくると図のような圧迫骨折が生じやすくなります。

転んでしりもちをついた、激しくぶつけた、等のきっかけが無くても知らぬ間に圧迫骨折になっていた・・・というケースは少なくないんです。

で、こういうコトが繰り返されると徐々に徐々に背骨が曲がっていき

こういう姿勢になってきます。

筋力低下で腰が曲がるのであれば筋力をつけることで背筋を伸ばすことは可能ですが、骨性の問題はリハビリでもどうしようもありません

さて、上記のようなケースはある程度年齢を重ねてから起こりうるリスクですが・・・

エストロゲンは自律神経系のバランスを整える働きがあります。

そのため自律神経の働きが乱れると循環不良から腰痛や肩こりが現れやすくなります。

その代表が

PMS(月経前症候群)

いわゆる生理前の体調不良。

若い女性で腰痛持ち、という方の中にはPMSによる症状がメイン、という方も少なくありません。

この場合、筋肉や関節の問題というよりホルモンバランスの問題がメインなので、運動をしたりマッサージをしたり、というよりもストレスを減らし規則正しい生活を心掛ける方が症状が緩和するケースも。

エストロゲンの分泌量は増やせるのか?

加齢とともに減少するエストロゲン。

ストレスにさらされる社会で頑張る女性はなおのこと減りやすいホルモン。

ならサプロメントで補えば・・・というところなんですが

残念ながらエストロゲンは

サプリメントで増やすことはできません。

だから、できるだけ減少を緩やかにすることが大事。

  • バランスの良い食生活
  • 適度な運動
  • 良質な睡眠

結局のところ、これらを意識するのが一番。

あとは、

女性ホルモン補充療法(HRT)

という治療。

更年期障害に悩む方の治療法のひとつなんですが、薬を使ってエストロゲンの量を増やすというコト自体は出来ない訳ではありません。

しかし医師の指示のもとで行う治療であるため、自己判断で手軽に・・・というわけにはなかなか。

それ以外で、というと・・・エストロゲンに化学構造の似ている

大豆イソフラボン

を摂取するという方法。

大豆イソフラボンはその名の通り、大豆由来の食品に含まれます。

大豆イソフラボンが体内の腸内細菌によって変換され、エクオールという成分が作られるんですが、このエクオールがエストロゲンと似た働きをしてくれるようです。

エクオール+ラクトビオン酸

ただ、あくまでエストロゲンに『似た』働きをしてくれるだけ

多少の効果はあると思いますが・・・

沢山摂取すれば更年期障害やPMSが治る!というワケではありません。

過度な期待は禁物。

おわりに

さて、今回は女性ホルモンと腰痛に関連についてお話させて頂きました。

まぁ、あくまで知識的に知っておいて損はない・・・程度に思っていていただければと思います。

腰痛の原因因子はもちろん筋肉や関節、姿勢的な部分に多く存在します。

ただ、こういったホルモンバランスの影響から辛い腰痛が出現しているケースもあるので、多角的な視点で考えられると腰痛に対する悩みを解決する糸口が見つけやすくなるかもしれません。

では今回はこの辺で。

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな39歳。
臨床年数に胡坐をかくことなく、日々知識と技術のアップデートに邁進しています。
健康に関する情報やリハビリに関する情報、勤務する武内クリニックに関する情報などをブログで不定期に発信していきます。

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