ども。
武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。
今回は
肩関節の解剖学的な話
を少しだけ。
皆さんは、肩の動きに関わる関節っていくつあるか知っていますか?
この辺りの話というのは知らない方も多いと思うんですが・・・
肩が痛い、肩が上がらない
と言った悩みを解決するためには必須の知識だと思います。
現在、肩の痛みや動かしにくさに悩んでいるという方は
是非最後までお付き合いください。
肩は肩関節複合体として捉える
肩関節と一言に行っても、肩には上の図のように5つの関節が存在します。
- 肩甲上腕関節
- 肩鎖関節
- 胸鎖関節
- 肩甲胸郭関節
- 第二肩関節
ちなみに我々が一般的に肩関節と呼んでいるのは
肩甲上腕関節
肩甲骨と上腕骨を繋いでいる・・・という名前で分かりやすいですよね(笑)
肩の動きというのは、これら5つの関節の複合的な動きによって形作られています。
よって肩関節の症状がみられた場合、
肩関節複合体のどこかに何か不具合が生じたのかも…?
といった具合に捉えることが大切。
肩というのは、肩甲骨と脊柱、鎖骨と胸骨、肋骨が上手く協調的に機能することで本来の機能を発揮することができる・・・ということを常に念頭に置いてもらいたいと思います。
ところで、
機能的関節と解剖学的関節
という言葉があります。
解剖学的関節というのは、その言葉通り解剖学的に見て正真正銘の『関節』。
対して機能的関節というのは、
『機能としては関節の機能を有しているけど、構造的に見ると関節という言葉の定義から外れているもの』
になります。
要するに、
関節っぽい
という事ですね(笑)
第二肩関節と肩甲胸郭関節は『関節』と名前がついていますが、厳密に言うと
関節っぽい動きをしている部分
と捉えられます。
肩の動きは肩関節複合体だけで作られるわけじゃない
これも本当に知っていてもらいたい事柄のひとつ。
こんな風に手を挙げる時の各関節の役割の比率は
- 肩甲上腕関節 40%
- 肩甲胸郭関節 20%
- 胸鎖関節 10%
- 肩鎖関節 10%
- その他 20%
上記のようになります。
つまり・・・
手を挙げる時、我々が一般的に肩関節と捉えている肩甲上腕関節は
40%程度の寄与率しかない
ということ。
仮に、
肩甲上腕関節がスーパーパーフェクトに機能していたとしても、他の部分で機能障害が生じていれば当然、肩は上げにくくなってしまいます。
ちなみに、その他として含まれるのは脊柱の可動性や胸郭の可動性。
この辺りに問題があっても肩の動きはかなり制限されてしまうんですね。。
臨床で治療対象となりやすいのは『それ以外』の部位
クリニックに来られる患者さんの中で、肩の機能障害に悩まれている方は
- 肩甲骨の動きがすごく悪い
- 脊柱の動きがすごく悪い
この両方、もしくはどちらかの症状がみられることが本当に多い。
もちろん、結果的に肩甲上腕関節の機能が十分に発揮できていないケースも多々あるんですが、
控えめに言って、
半分以上の人が肩甲上腕関節以外の部位の機能障害
が根底の原因となって肩の痛みや動かしにくさを作り出しているんじゃないかなーと(テラサワ調べ)。
こういったケースの場合、
肩甲上腕関節の動きに関与する組織のコンディションを整えれば一時的に痛みが減ったり肩が軽くなったりします。
ただ、1日、2日でまた症状が再発することがほとんど。
本当に症状を改善させたい場合は、肩甲骨や脊柱の動き、頸部や胸郭の機能なんかにも目を向ける必要があります。
肩のセルフケアで大切なコト
結局、肩の痛みや動かしにくさで悩んでいる方は、スポーツでの怪我やその他外傷によるものを除けば主な原因は
- 手を上に挙げる動作が日常生活の中で圧倒的に少ない
- 肩甲骨をしっかり動かすという習慣が圧倒的に少ない
- 脊柱をしっかり動かす習慣が圧倒的に少ない
この3点に尽きると思います。
逆に言えば、セルフケアで肩こりや肩の痛み、動かしにくさを解消したい場合はこの3点を日常生活の中にしっかりと取り入れる事が大切。
普段忙しくて中々運動をする時間が確保できない・・・という方も、こういった部分にちょっとだけ意識を向けるだけで案外症状は改善していくかもしれません。
といったところで、今回はこの辺で。
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