ども。
武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。
最近クリニックにくる患者さんに
私たちが自分でやれる運動をブログで詳しく教えて欲しい!
なんて言っていただきました。
そこで
簡単にできるセルフトレーニングについて、1記事で1つずつ
これでもかというほど詳しめに紹介させて頂こうかと思います(笑)
筋トレメニュ―自体は難しいものではありません(負荷量が少ないとは言っていない 笑)。
是非、ご自身のフィジカルケアにお役立ていただければと思います。
ということで今回はそんな企画の第一弾。
腸腰筋を鍛える筋トレメニュー
です。
正確には、腸腰筋を含めた股関節屈筋群を鍛えるメニュー。
ぱっと見、簡単なようですが・・・
実はけっこうキツめ(笑)
股関節屈曲筋群て?
まず、股関節屈曲筋群とは何か、というところから。
股関節屈曲というのは
こういう運動。
股関節をグッと曲げるような動作を股関節の屈曲といいます。
で、その際に使う筋肉というのは
だいたいこの辺りの筋肉が中心になります。
その中でも、股関節の屈曲筋としてメインになるのが腸腰筋。
腰椎や骨盤の内側あたりから、大腿骨の付け根のあたりにくっついています。
腸腰筋というのは腸骨筋と大腰筋という2つの筋肉の総称。
厳密に言えばこの二つは働き方がちょっと異なるんですが・・・まぁそこまで細かい話はいいでしょう。
腸腰筋が一番頑張って股関節を屈曲させてくれる
これだけ覚えていればOK。
股関節屈曲筋はどうして大事なのか
股関節屈曲筋は、モモを上に持ち上げてくれます。
なので、股関節の屈曲筋群が弱いと歩く時に足が上がりにくくなってしまいがち。
つまり、つまずきやすくなってしまうんです。
・・・これはよく聞きますよね。
ただ、これと同じくらい大事な股関節屈曲筋群の仕事というのは
骨盤の安定性の確保
です。
もちろん、骨盤の安定性確保は股関節屈曲筋群だけじゃダメなんですが、これらの筋がかなり重要な要素であることは間違いありません。
よくあるこういった不良姿勢。腰痛の原因にもなりやすいですよね。
背骨が良い位置に無いというのは、結局背骨の土台となる骨盤が良い位置に無い場合が多いんですが
盤が良い位置に無いのは多くの場合、股関節周囲筋の機能不全に起因しているんです。
腸腰筋をゴリゴリ鍛える筋トレ
では筋トレを紹介。
・・・とは言っても、ほんとやり方自体はめちゃめちゃシンプルです。
レベル1、この姿勢を20秒キープ。左右交互に2~3セット程度を目安にします。
ふらつかないために、台や椅子の背、手すり等につかまって行なって構いません。
ポイントは
- 上げている足は太ももが床と平行になるように腰のあたりまで上げる
- 支持脚は膝を最大まで伸ばす。膝をロックするようなイメージで。
- お尻の穴をキュッとしめる。
この3点だけ。
ね?簡単でしょ?(笑)
こんな感じに内股になっちゃいけません。上げてる足の膝が、自分のおへそと同じ向きを向くようにキープしましょう。
ではレベル2。
レベル1の姿勢をキープしながら、膝の曲げ伸ばしをします。
可能であれば足が一直線、床と平行になるように。
もも裏が突っ張ってそこまで伸びない場合は、伸びるところまでで構いません。
ただ、太ももの高さは腰の位置、床と平行をキープです。
その状態で膝の曲げ伸ばしを左右各10回×2~3セット、やってみましょう。
・・・。
やってみましたか?
実際はレベル1でもなかなかにきついと思います。
腸腰筋を鍛えるならこの運動がベスト。掴まるところさえあればどこでもできますからね♪
補足的な知識
股関節屈曲筋を鍛える代表的な運動として
こういうのがあります。
座って出来るし、お手軽なのでテラサワも高齢な方の軽い筋トレにはよく使っています。
これはこれで便利なんですが・・・
人体の構造、動作のメカニズム等を考えて効果を追究するのであれば
こっちがオススメ。もちろん、痛みや過度な筋力低下で姿勢保持が困難な場合は別ですが。
神経制御的メカニズム的な・・・小難しい話
一般の方にはちょっとマニアック過ぎるかもしれませんので、興味のない方は読み飛ばしてください(笑)
ヒトは、何か動作をする時に
- 姿勢を制御して身体を安定させる
- スムーズに手足を動かす
ざっくり分けてこの2つをコントロールする神経回路が働いています。
背外側系と腹内側系の神経回路っていうのがあって、姿勢を制御して身体を安定させるためには
腹内側系神経回路っていうのを正常に機能させる必要があるんですが
こういった神経回路は、生物進化の過程で人類の祖先が脈々とグレードアップしてきた代物。
言い換えれば、
我々が直立二足歩行を確立してからさらなる進化を遂げるために手に入れてきた宝物のひとつです。
・・・ちょっと話がそれてきました、ついつい(笑)
何が言いたいかというと
腹内側系の神経回路というのは重力に抗した環境で能動的な運動を行うことにより賦活される
ということ。
まだ回りくどいですね(笑)
つまり、
座って股関節屈曲筋群を鍛えるよりも重力に抗した立位姿勢で股関節周囲筋を鍛えた方が、
神経レベルで筋肉や関節をしっかりと制御し、安定性・固定性を発揮しやすい身体になる
みたいな感じ。
寝て筋トレしたり、座って筋トレするよりも、立位や歩行を絡めた姿勢、動作で筋トレを行った方がより実用的な機能の獲得につながるというワケです。
代償動作が現れにくい
座った状態でのモモ上げ運動でも、キチっとやればちゃんと腸腰筋の筋力強化に繋がります。
ただ問題は、
座った姿勢だと代償的な動きで無意識のうちに負荷を軽減してしまう事が多いこと。
モモを高く挙げようとすると、ついつい骨盤を後ろに倒してしまいやすいんです。
ぱっと見、骨盤を起こした姿勢で運動しているつもりでも、実際ちゃんと骨盤が起きていないまま運動を続けているヒトがほとんど。
骨盤を前傾させたまま腸腰筋を働かせるのって、実際はけっこうしんどいんです。
一方、立った姿勢でモモを持ち上げた姿勢では支持脚の膝にグッと力を入れて伸ばしてさえいれば、モモの前の大腿直筋が骨盤を引っ張って強制的に前傾させてくれます。
つまり、
立脚側の膝さえちゃんと伸ばしていれば、骨盤前傾位のもっとも腸腰筋に負荷がかかるポジションを保持できるというコトになります。
歩行時、その他に必要な可動域および筋力の確保に繋がる
結局、実際の歩行動作で足を上げる姿勢に近いというのが一番のミソ。
腸腰筋をゴリゴリ使うのと同時に、それ以外の要素にも働きかけることができます。
それ以外の要素とは
- 立脚側で身体を支えるための筋力も強化できる(大殿筋、中殿筋、大腿四頭筋、脊柱起立筋など)
- 股関節周囲筋の柔軟性向上にも繋がる(ハムストリングス、内転筋群など)
中心はこのあたり。
歩行動作で足を上げる時、実はこういった機能も重要になってきます。
この辺がうまく機能していないと、腰が曲がった姿勢になったり膝や腰に負担がかかって痛くなったり・・・良いコトがありません。
腸腰筋を鍛えるだけでなく、骨盤周囲の様々な筋にアプローチできる素晴らしいトレーニング!(笑)
おわりに
まだまだ細かい部分について語りたいところですが、
くどくどと説明が長くなりすぎてもアレなんでこれくらいで(笑)
最後に、今回の記事を要約すると・・・
腸腰筋を鍛えたいならまずはひたすらこの運動だけやってください!
といったところ。
騙されたと思って続けてみてください。
他のトレーニングより効果を実感できると思います。
では今回はこの辺で。