それ…本当に効果ある?サプリメントを買う前に知っておくべきこと

膝が痛いおばさん

テレビやラジオでよく、痛みが取れるサプリメントの宣伝をやってるけど…実際本当に効果があるものなのかしら…?

整形外科のクリニックで働いていると、患者さんによくこういった事を聞かれます。ここ10数年はこういった類の宣伝が本当に多くなったなーとつくづく感じるわけですが…

さて、皆さんはどう思いますか?この記事を読まれている多くの方が、実は同じような疑問を持ってるんじゃないかと思います。

そこで今回は、『サプリメント』について少し掘り下げてみようかな、と。

痛みを緩和するサプリメントに限らず世の中には様々なサプリメントが存在しており、それぞれの宣伝文句は思わず手を伸ばしたくなるような魅力的なものばかり。

そんな宣伝文句に右往左往させられたくないという方には今回の記事、役に立つんじゃないかと思います。是非最後までお付き合いください。

目次

サプリメントという言葉の意味

まず、サプリメントという言葉を正しく理解しましょう。

健康長寿ネットにおいてサプリメントは、健康食品に分類される食品とされています。

つまり…

サプリメント=ちょっと健康にいい可能性がある食品

ということになります。

なんとなく気軽に飲める薬…みたいに捉えている方もいますが、あくまでサプリメントの括りは食品なんですね。医薬品とは全く別のものと考えてください。ちなみにサプリメントという言葉、国から明確な定義というものは定められていません。健康食品のひとつがサプリメント、といった捉え方でとりあえずは間違っていないんじゃないかと思います。

そして、日本には食品の表示制度というものがありまして、健康食品とされるものは下記のような分類で区別する決まりがあります。

  1. 特定保健用食品
  2. 機能性表示食品
  3. 栄養機能食品
  4. それ以外(栄養補助食品、健康補助食品)

医薬品を除けば、1が最もエビデンスレベルが高いものになります。1から3までは2015年に制定された機能性表示食品制度に基づき表示を許可しているもの、4はそうでないものと大別されており、ある程度国からのお墨付きがあるのは1~3までで、それ以外は医学的根拠という面で信頼性がほとんどないと考えて頂いて差し障りありません。

表示名から分かるサプリメントの信用度

先ほども言った通り、大前提として

サプリメントは医薬品ではない

ということは押さえておいてください。

医薬品は認可されるまでに国が定めた厳しい基準をいくつもクリアしなければならず、多くの大規模臨床実験を経て効果を立証できたものだけに表示が許可されるもの。ある意味、サプリメントとは格が違います(笑)

それを踏まえたうえで、それぞれの表示名について少し詳しく見てみましょう。

特定保健用食品(トクホ)

機能性表示食品制度の中では、最もエビデンスレベルが高いとされているのが特定保健用食品。いわゆるトクホです。

こういうマーク、見たことあるんじゃないでしょうか。

トクホの食品と名乗るためには

  • メーカーが示すエビデンス
  • 消費者庁のお墨付き

この2点がなければなりません。

消費者庁が第三者機関として検証したうえで一定の効果を確認できる食品のみがトクホの食品として扱われる、と考えれば、信用度も全く無いわけではありませんよね。

機能性表示食品

機能性表示食品には、このような表示がされています。トクホと比べるとちょっと地味な印象。

機能性表示食品を名乗るために必要なのは

  • メーカーが示すエビデンス

第三者機関の検証というものはされておらず、メーカー側が示した根拠というものさえあれば機能性表示食品として扱うことができます。

ところで…

○○の成分は膝の軟骨を修復する効果が認められています。本製品はそんな○○の成分を○○㎎配合!当社の検証でもご愛飲者様の98%以上が効果を実感されており、多くの方々からぜひ飲み続けたいとのありがたいお声を頂いております!

こんな感じの文言、よくCMでみたり聞いたりしませんか?こういった類のサプリメントの多くは機能性表示食品という形で売り出されています。

ちなみにサプリメントを売る文言を作る時は薬機法というものに準ずる必要がありまして…直接的に効果があると印象付ける表現はしてはいけない決まりになっています。上の文も良く読むと分かると思いますが、このサプリメントが膝の軟骨を治す、とは言っていませんよね。

若干話がそれてしまいました。要するに機能性表示食品は多少なりともエビデンスは示しているものの、ちょっと根拠を信用するのはいかがなものか、といったところかなと。

栄養機能食品

栄養機能食品には特定のロゴが存在しません。機能性表示食品同様、文字としてパッケージのどこかに記載してあるハズです。

栄養機能食品を名乗るためには

  • 国が定めた栄養素の含有量を満たしている

必要があります。

ただ、これ自体はそれほど難しいことではありません。要はその成分が既定の量含まれていればよいので、効果を検証する必要も無いワケです。

一応、国からの墨付きで名乗れる栄養機能食品と言う名ですが…正直な話、それがどう効果に直結するかという論議は全くなされていないものがほとんどなので、エビデンスレベルはかなり低いと思ってください。

それ以外

それ以外と言うと例えば

  • 栄養補助食品
  • 健康補助食品
  • 自然食品

こういったもの。

いかにも健康に良さそうな言い回しをしていますが…国の制度化した枠には入っていないため

効果・機能の表示は一切できません。

ちょっときつい言い方をすれば、効果を保証する根拠は全くないという事になります。

結局サプリメントを使うべきなのか?

サプリメントの信用度についてはこれまでの話の中である程度イメージできたんじゃないかなと思います。機能性表示食品制度というもの自体、国が定めているので全く信用に値しないというワケではありません。

ただ、個人的な見解としては

サプリメントは使っちゃいけないとは言わないまでも
使わないに越したことはない

と考えています。

効果が本当にあると言えない

もちろん、人によってはサプリメントの効果を実感している方もいるとは思います。ただどうでしょう、あなたは今までサプリメントを飲んで如実に効果を実感したこと、ありましたか?

実際のところ、サプリメントを飲んで効果を感じられなかったという方は全体の90%前後と言われています。これこそが結果、これこそが統計学的な根拠になるんじゃないかな、と。

効果を感じた方の一定数はプラセボ効果によるものだとも言われているため、本当にサプリメントの成分で効果を実感しているという人はさらに少ないハズ。

こう考えるとやはり、たとえトクホの食品でメーカーや消費者庁が根拠を示していたとしても効果が期待できるとは考えにくいんです。

もちろんその検証の中で医師を含めた専門的な医学的知識のある人間が多数関わっていて、プラセボ群も設定した大規模実験を数回繰り返した上で効果を謳っているのであれば多少信用しても良いとは思いますが…そこまでの事をするならば医薬品としての認可を取った方が信用度も高いですからね(笑)

安全性が確立していると言えない

新型コロナウイルスが流行り始めた時、当初はワクチンを打ちたがらない人が多数いました。安全性が不安、将来恐ろしい後遺症に見舞われるかも…と。

スケールは少し違いますが、ニュアンスはそういうことです。

昨今の健康ブームで、身体に良いという様々な成分を耳にする機会が増えました。そして、そんな成分がたくさん含まれているこのサプリメントは素敵でしょ?という売り文句は多くのインフルエンサー達も多分に使用しています。

でも考えてみてください。ここ10~20年程度でポっと出てきた新成分、数十年後の安全性ってどのくらい保証されているでしょうか?

もちろん必ず身体に害になるとは限りません。でも、その逆も証明できていません。検証できていません。

効果があると言い切れなくて、安全とは言い切れない…そう考えると、個人的にはリスクの方が高いよなーと考えてしまいます。

そもそも痛みをはじめとした不調の原因は別のところに

ようやくここまできました。PTとしての立場から本当に伝えたいのはコレ。痛みの原因はそもそも姿勢の影響や、筋肉・関節の使い方の問題があるケースが大半なんです。それ以外の不調についても結局、先天的なものや遺伝的なものを除けば自身の生活習慣から生み出されるもの。

  • 規則正しい食事
  • 十分な睡眠
  • 適度な運動

これらに勝るサプリメントは、今のところ存在していないでしょう。

しっかりと食事を摂り、ぐっすり眠って、運動をしているのにもかかわらず身体の調子が悪いというのであれば病院を受診して医師から適切な医薬品を処方してもらうのが最善策です。

効果が出る可能性も高いですし、サプリメントよりも安価で薬が買えるのでメリットしかありません。

医薬品としてのビタミン剤等はアリと言えばアリ

3類医薬品として売られているビタミン剤。サプリメントを使うくらいなら健康に害が出ない適切な用量を守るという前提で、こちらを使った方が良いかなーと思います。

医薬品についての信用度については前述してあるため敢えて説明しませんが、効果を望むならサプリメントより間違いなく期待できます

効果が現れなかったとしたら、それはそもそもその症状に適応する錠剤ではなかったというケースが大半でしょう。

例えばビタミンCの錠剤。薬品会社が医薬品として売っているものでも¥2000とかで購入できます。高いサプリメントだともっと何千円もするのもありますが…医薬品として認められているビタミン剤がこの値段で買えるなら敢えてもっと高いものを購入しなくてもいいんじゃないかな、と。

ネットの検索ワードで

『ビタミンC 医薬品』

みたいに入力すると色々出てくるので興味がある人はAmazonとかで試してみてください。

おわりに

サプリメントを飲んでいる方によく、

テラサワ

そのサプリメントって実際効果あります?

って聞くんですが、ヘビーユーザーの人でもだいたい

肩が痛いおじさん

うーん、飲まないよりマシって感じかな?

こんな返答。

本当に効果を感じて飲み続けているという人は…テラサワは殆ど出会ったことがないんですよね。飲み続けること自体精神的な安定に繋がっているという方もいますので、サプリメントのリスクばかりを列挙して不安を煽るつもりはありません。

とはいえ、

サプリメントの長期的な服用は
『未来の健康貯金』よりも『未来の不健康リスク』に繋がる可能性をはらんでいる

という事実も頭の片隅に置いておいてもらえたらな、と思います。

ということで今回の記事はおしまい。最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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この記事を書いた人

松本市にある武内整形外科クリニックに勤務する理学療法士。
産まれも育ちも長野県で、地元が大好きな39歳。
臨床年数に胡坐をかくことなく、日々知識と技術のアップデートに邁進しています。
健康に関する情報やリハビリに関する情報、勤務する武内クリニックに関する情報などをブログで不定期に発信していきます。

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