ども。
武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。
今回は
座骨神経痛の対処法
についてお話させて頂きます。
座骨神経痛とは
お尻から太ももの後ろや外側にかけての痛み、皆さんは経験したことありますか?
このような痛みを総称して
座骨神経痛
と呼びます。
痛みの種類としては
- ズーンと重だるいような痛み
- ピリッとしびれるような痛み
- ズキッと指すような痛み
など、原因によって様々。
腰の骨から出ている座骨神経という神経の走行に沿って現れる症状は
一般的に座骨神経痛と呼びます。
座骨神経痛は、この座骨神経が何らかの原因で圧迫されることによって生じると考えられています。
坐骨神経痛はなぜ生じるのか
先ほど、
座骨神経痛は座骨神経が何らかの原因で圧迫されることによって生じる、と言いました。
では具体的にその原因は何かというと
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰部椎間板ヘルニア
- 梨状筋症候群
- 腰椎すべり症
- 腫瘍
等が一般的ですが、その他股関節や骨盤周囲の疾患等でも出現することがあります。
座骨神経痛は治るのか
世の中には、
『座骨神経痛が治る!』
といったうたい文句でサプリメントや健康器具、健康関連の書籍等が溢れています。
実際、座骨神経痛は治るのでしょうか?
もちろん症状によって良くなる場合も良くならない場合もある、というのは大前提として
ある程度の症状であれば
痛みを消失させる、あるいは軽減させることは可能
であると言えます。
ただ、
座骨神経痛にはこの治療法
という考え方ではなく
自分の痛みにはこの治療法
という考え方が非常に重要。
『座骨神経痛』をひとくくりに考えるのではなく、
自分の座骨神経痛は何が原因で、どの程度の重症度なのか
をしっかりと把握することが
症状緩和のための第一歩になります。
座骨神経痛を緩和するための手段
座骨神経痛の対処法として考えられる主な手段としては以下のようなものが挙げられます。
- 手術をする
- 薬を飲む
- 湿布を張る
- 注射を打つ
- 温める
- けん引する
- 運動をする
手術をする
『手術をする』は、本当に最後の手段。
例えば、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等の状態が重篤で、どうにもほかに手段がないという場合は手術が選択肢となってきますが…
基本的にはそれ以外の方法で保存的に症状をみていくというスタイルが選択されます。
薬を飲む、湿布を張る
『薬を飲む』『湿布を張る』はまず最初に選択されることが多いんですが、この2つはあくまで
一時的な応急処置
として捉えるべきです。
消炎鎮痛剤というものは、痛みを一時的に抑えることは出来ても原因の根本を治すことはできません。
捻挫や打撲、ぎっくり腰等は組織の炎症そのものが痛みに原因になっていることが多いため、消炎鎮痛剤で組織の炎症を抑えることで症状は改善していきます。
しかし座骨神経痛に関しては、多くの場合組織の炎症ではなくあくまで『圧迫による機械的刺激』が主な原因になります。
したがって、一時的な痛みの緩和は出来てもそれ以上の効果を望むのは困難と言えるでしょう。
そのため基本的には多くの場合、服薬や湿布薬による治療は反永続的に続ける事になります。
注射を打つ
同様の理由で『注射』も効果は一時的。
注射はあくまで麻酔なので・・・
個人差はありますが、数時間から数日でまた痛みが再発する場合がほとんどです。
けん引
『けん引』は、背骨を上下に引っ張ることで圧迫による機械的刺激を軽減するという治療。
脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアに起因する座骨神経痛であれば、症状が軽減することがあります。
ただ、効果に関しては個人差があり…
すごく楽になるというヒトもいれば全く変わらないというヒトも。
根拠に基づいた推奨グレードもいまひとつで、医学的には積極的に推奨するというものではありません。
とはいえ、理学療法士としての個人的な感覚としてはそれなりに効果のある方も多く、続けることで症状が緩和するという方も珍しくないため、適応であればとりあえず試してみる、というのもアリだと思います。
ただ、場合によっては症状が悪化することもあるため注意が必要です。
温める
『温める』というのは、手軽にできる対応方法。
普段から活動量が少なく基礎体温が低い方などは特に、温めて血流を改善するだけでも症状が緩和することがあります。
また、精神的なストレスというのも座骨神経痛には案外影響が大きいので
温めてリラックスするというのも大事な治療のひとつと考えられます。
ちなみに急性炎症を伴うような疾患に関しては温めることで痛みが強まることもあるため注意しましょう。
運動をする
『運動をする』ことは、座骨神経痛に限らず多くの疾患で有効な治療手段。
これといった疾患がないのに座骨神経痛が出現している場合は、梨状筋症候群が原因となっているケースが非常に多く見受けられるんですが…
梨状筋症候群が主な原因であれば、筋肉や関節の柔軟性をしっかりと確保しコンデションを整えることで多くの場合症状が緩和します。
人によっては
魔法のように痛みが無くなった!
と感じる方も。
まぁこれは極端な例ではありますが…
ストレッチや筋トレなど、自分に合ったセルフトレーニングを続けることで症状の緩和、再発の予防を図ることができます。
どんな治療がオススメなのか
まずは「運動」をすることが最も重要です。
具体的には
- 股関節や骨盤周囲の筋力や柔軟性を確保する
- 脊柱の筋力や柔軟性を確保する
が最優先。
症状の重症度問わず、可能な範囲で上記を意識した運動を続けるという事が痛みの緩和、症状悪化の抑制に繋がります。
運動の内容については専門家の指示を仰ぎながら
ご自身に合ったプログラムを行なってください。
ただ、もちろん運動が万能なわけではありません。
運動をしても思うように症状が緩和しないケースに関しては「服薬」や「注射」などを組み合わせながらうまく痛みと付き合っていく必要があります。
ただ、痛いから動かさずに安静に…
という考えは出来るだけ控えましょう。
もちろん、ものすごく痛いのに無理して運動を、とは言いませんが…
動かさずに筋肉や関節が硬くなると、症状はどんどん強くなります。
多少の痛みであればしっかりと運動を行った方が、むしろ楽になるかもしれません。
おわりに
今回は私見を交えつつ座骨神経痛についてお話させて頂きました。
多くの方が悩まされる座骨神経痛ですが…
普段から身体をしっかり動かし、股関節や背骨周りの柔軟性や筋力を維持することで
多くの場合は予防する事が可能です。
症状が強く現れてからでは改善が難しい場合も多いので
出来れば症状が現れる前にしっかりと予防に努めたいものですよね。
では、今回はこの辺で。