ども。
武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。
当クリニックに来る患者さんで多い症状のひとつが腰痛。
疾患名で言えば
脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、ぎっくり腰など。
今回の記事では
その中でも
『ぎっくり腰』
を取り上げ、早く治すための最善策についてお話させて頂こうと思います。
ぎっくり腰が癖になっている方、今まさにぎっくり腰で苦しまれている方は是非お付き合いください。
ぎっくり腰になりにくくなるためのヒントはこちら↓
ぎっくり腰とは
ではまず定義的な部分から。
ぎっくり腰って、そもそも何なんでしょうか?
医師がつける診断名は『急性腰痛』
その名の通り、突然動けなくなるほど腰が痛くなる症状を総じてぎっくり腰といいます。
急性腰痛という言葉自体、総称のようなものなんです。
ちなみに腰痛は
- 骨や関節に何かしらの問題が生じている場合
- 腰の周りの神経が圧迫されて生じる場合
- 腰の周りの筋肉に何かしらの問題が生じる場合
- 内臓に問題があることで生じる場合
- 心理的要因から生じる場合
ざっくり言うとこの辺りが影響して出現することが多いと言われているんですが・・・
どれが原因だとしても
突然出現した激しい腰痛は基本的に急性腰痛、いわゆるぎっくり腰として扱われます。
特に腰に関して目立った既往がない場合、
骨や関節、筋肉に過度な負荷がかかって一時的に炎症反応を起こすとともに周辺の軟部組織を痛めてしまっているというケースが多く、一般的なぎっくり腰はこういった症状を指すことが多い印象を受けます。
ということで、以下ではこういった症状を『ぎっくり腰症状』と捉え、お話させて頂こうと思います。
※急性腰痛の症状全てについて述べるワケでは無いです。類似した症状だったとしても、もしかしたら重篤な疾患が隠れているかもしれないので出来れば整形外科受診を。
ぎっくり腰発症~3日目くらいまで
普段持たない重いものを持った、
ちょっと姿勢を変えようとしたらズキッときた、
朝起きたら突然急激な腰痛が、
健康のためにと普段やらない運動をしたら腰痛が、
発症理由はひとそれぞれですが・・・
急激に動けないほどの腰痛に襲われた場合、どうしたらいいのでしょうか?
発症初期での一番正しい選択肢は
痛み止めを飲んで安静にしていること。
これに尽きます。
急性腰痛が出現した場合、基本的に関節周囲の筋肉をはじめとした軟部組織には炎症が生じています。
48時間前後は炎症反応が続くことが多いんですが、
炎症がある時は無理に動かさないことが大事。
あと、この時期は温めると炎症が強まって痛みが増悪するため温めるのはNG。
市販の痛み止めでもいいですがやっぱり病院でもらう痛み止めや湿布の方が良く効くので、可能であれば発症から出来るだけ早い段階で整形外科を受診して痛み止めの飲み薬と湿布をもらいましょう。
症状によってはレントゲンやCT、MRIなんかを撮っておけば安心感も増すハズ。
腰痛って、案外心理的な要因で症状が変動することも少なくないんですよね。
めちゃめちゃ痛い!もしかしたら何か重い怪我や病気が!?
このように過剰に心配しちゃうことで痛みが強まったり治りが遅れたりするんです。
理想的な流れとしては
- 発症
- ちょっと動けるまで安静に
- 整形外科を受診(薬をもらう、画像を撮る、不安を減らす)
- 帰って湿布張って薬飲んで安静に
- ひたすら安静に
こんな感じ。
コルセットを巻いた方が楽ならコルセットを使いましょう。
最低でも丸1日、可能なら2日は安静にできると、その後の症状回復が早くなります。
お仕事をしている方も1日はお休みをもらって休めると理想。
早い段階で痛み止めと湿布を使っていれば、1日か2日で何とか動けるようになると思うのでそれまでは我慢。
3日目くらいまでは基本的にあまり動かずゆっくりと過ごしてください。
巷には
『ぎっくり腰を嘘のように治す』というような文言を謳った整体や治療室も存在しますが・・・
炎症症状が現れている時期はヘタに筋肉や関節を動かす施術を受けない方が無難。
(炎症期を過ぎていればOK)
症状の出ている部位の周囲の筋肉や関節の過緊張を軽減したりすれば若干症状が緩和する可能性はもちろんあります。
ただ、結局炎症反応が治まっていない部位がある以上、周辺組織は再び過緊張となりやすいので、結局炎症期は安静にしているのが一番かなーと。
あとは、物理療法でマイクロカレントというのがあるんですが、コレを使えば炎症症状の緩和を図ることができるため症状の回復が速くなる可能性があります。
整形外科でも使っているところもあるので、あるのであれば使ってみてもいいかも知れません。
※ちなみに・・・うちのクリニックには置いてありません(苦笑)
発症3日目~1週間
発症初期の対応を間違っていなければ、この辺りでだいぶ症状は緩和してきているハズ。
おそらく炎症反応も落ち着いてきているんじゃないでしょうか?
炎症反応が残っていると、お風呂に入った後などに痛みが強くなったりします。
そういった症状が無くなっていれば無理のない範囲で身体を動かしましょう。
とはいえ、まだ痛み自体は残っている場合も多いかと思います。
最初よりもだいぶ楽だけど・・・また痛くなったらいけないから念のためコルセットをつけて無理せず生活しよう。
こんな風に考える方もけっこうたくさん。
でも、症状が落ち着いてきたら出来るだけ早くコルセットから脱却しましょう。
この時期は炎症反応による痛みより、筋肉や関節を動かさなかったことで生じる
- 関節そのものの滑らかな動きの欠如
- 筋肉をはじめとした軟部組織の伸張性・収縮性の欠如
- 不動による循環不全
- 不動による固有受容器の機能不全
が問題になってきます。
ちょっと難しめな言葉で恐縮ですが要するに
動かさなかったことで痛みが出やすい状態になっているというコト。
理想的な流れは
- 服薬は継続しつつ活動量を多めに(コルセットはしていても可)
- おそるおそるコルセットを外して動いてみる
- 更に活動量を増やす(コルセットを外して)
こんな感じ。
もちろん、無理をしろというワケではありません。痛みの状態を見ながら少しずつ、という感じで。
発症後1週間以降
順調にいっていれば、1週間から10日程度で症状はほぼほぼ落ち着いていると思われます。
この時期でもまだ腰痛が結構ひどい、という場合は多くの場合
- 腰や背中、股関節周りの筋肉や関節の機能性が低下している
- もうちょい重篤な疾患が隠されている
のどちらか。
10日~2週間程度経ってもイマイチ痛みが治まらない場合は改めて整形外科を受診しましょう。おそらく、お医者さんでもらった薬も底をつく頃だと思います。
腰や背中、股関節周りの筋肉や関節の機能性が低下している場合はストレッチや筋トレ、その他運動療法を適切に行うことで症状が改善していきます。
我々理学療法士の出番とも言えますね。
YouTube等で探すと、ぎっくり腰改善のための体操なんかも沢山あると思います。
発症して1週間前後経過していて、多少動けるようになっているのであればこういった動画を参考にしながら積極的に腰・背中周りや股関節を動かしましょう。
まとめ
ぎっくり腰の対処法についてのまとめです。
- まずは整形外科を受診
- 発症から1~3日くらいは安静に
- 3日後以降は少しずつ運動を
- 10日くらい経っても良くならなければ再び整形外科受診
発症直後は安静が絶対条件ですが、炎症が治まったら運動が絶対条件。
そこだけ抑えて頂ければ、ぎっくり腰症状は比較的早く良くなります。
参考にして頂ければ幸いです。
ということで、今回はこの辺で。
ではまた。