ども。
武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。
皆さんは痛みが強くて居ても立っても居られない時、どうしますか?
多くの方が痛み止めを服用する、と答えるんじゃないかと思います。
今回は、そのあたりのお話。
一言に痛み止めと言っても、目的によって用途は違います。
病院に行って痛み止めを処方してもらう時は基本的にお医者さんが判断してくれますが・・・
ちょっとだけマニアックな豆知識として
知っていても損はないんじゃないかと思います。
ということで、良かったら最後までお付き合いください。
痛み止めの種類
痛みが強かったら、とりあえずロキソニン飲んどけばOK。
なんとなくテラサワは新人時代、そう思っていました(笑)
まぁ、実際のところ
今でも自分自身何らかの理由で痛みが強い時は
カロナールやロキソニンを服用することが多いですが・・・
これはあくまで、自分の痛みに効果があると考えられるのが上記のタイプの痛み止めだから。
これらがどんな痛みにも対応できる万能薬というワケでは、当然ありません。
まず、普段一般的に処方される痛み止めはざっくり分けると
- 炎症を抑え、痛みの元になる物質の生成を抑制する薬
- 神経伝達物質の過剰放出を抑えるための薬
- 疼痛抑制系を活性化し、痛みの伝達をシャットアウトする薬
これら3つに大別されます。
もちろん他にもあるんですが、今回は比較的多く処方されるこれらの痛み止めについて少しだけ細かくお話しようと思います。
ちょっと言い回しが専門的で分かりにくいかもですが・・・(苦笑)
NSAIDsは、非ステロイドの抗炎症薬
まず、よく耳にする消炎鎮痛効果のある痛み止めについてです。
総称して
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
ロキソニンとか、ボルタレンとか・・・
あとは、バファリンとして有名なアスピリンも。
作用としては
- 抗炎症作用
- 鎮痛作用
- 解熱作用
が中心。
とりわけメインの仕事は抗炎症作用。
炎症があると、プロスタグランジンという痛みの原因物質が生成されてしまうんですが・・・
NSAIDsは、炎症を抑えることで痛みの元になる物質の生成を抑えてくれます。
ということで、
怪我押した直後、炎症が強く痛みがどうしようもない時や
熱が出て関節がギシギシ痛い時なんかは
NSAIDsが効果を発揮するわけです。
神経系の痛みにはリリカ
神経系の痛みに対してよく使われる薬が、プレガバリン・・・通称リリカです。
リリカはファイザーが作っている薬で、日本では2010年より使われ始めました。
比較的新しめな薬と言えますね。
神経系の痛みというと、
脊柱管狭窄症からくる座骨神経痛の痛みがどうにも我慢できなくて・・・
みたいなやつ。
神経が過剰に圧迫されたり、逆に過剰に伸長されたり、何かしらの理由で損傷したり。
こういった場合、痛みに関係する神経伝達物質が過剰に産生されることで痛みが増悪します。
リリカは、これらの神経伝達物質の過剰産生を抑える効果がある、ということですね。
分かりやすく言うと、
神経系に何かしらの問題が生じると痛みを伝える神経伝達物質がもりもり作られちゃうから、その過剰産生を抑えて痛みを何とかしよう、っていう感じです。
一方で、リリカは副作用が強くてきつい、なんて声も良く聞きますが・・・
神経障害性疼痛に対する薬として
タリージェ
も度々使われます。
こちらはリリカより副作用が少なく、効きが長いのが特徴。
ただ、末梢神経障害性の痛みにしか効かないというのが難点だったり。
SNRIは痛みを抑制する力を高める薬
人には本来、
痛みを抑制する下行性疼痛抑制系というシステムが存在します。
仰々しいシステム名ですが
要するに、痛み刺激があった時、その痛みを緩和するための神経伝達物質を出して痛みを感じにくくするシステム・・・といえばちょっと分かりやすいでしょうか。
そんな下行制疼痛制御系は様々な要因で働きにくくなります。
それは時に、心理的な要因であったり、性格的な要因であったり。
このシステムを正常化させるために使用されるのが
セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
抗うつ剤として使われることが多いですが、不定愁訴としての痛みの訴えが多い方などに処方されることがあります。
痛みの本質に対応した薬でなければ効果は出にくい
言葉にすれば至極当然なことのように思えますが・・・
当然、炎症や熱発が無いのにロキソニンを飲んでも症状は良くなりませんし、心理的な問題が主な原因なのに痛みを作り出す神経伝達物質を抑制しようとしても十分な効果は見込めません。
もちろん、薬を処方してくれるのは医師です。
だから、先生が正確に症状を把握できるよう、診察の時には自分の症状を分かりやすく伝えるという事がすごく大切になってきます。
自分がどれだけ痛みに苦しんでいるか、ということを必死に訴えるよりも・・・
自分の症状を客観的に分かりやすく伝えられるよう準備してから診察に行くことができれば、自身にとって最も有効な医療を提供してもらえるんじゃないかと思います。
では今回はこの辺で。