ども。
武内整形外科クリニックの理学療法士、テラサワです。
今回のテーマは
『脊柱』。
首の痛み、腰の痛み、
もっと言えば肩の痛みや膝の痛みなんかにも直接的な影響を及ぼすのが
脊柱の機能
です。
以前、背骨をテーマにした記事も書きましたが
今回はまたちょっと視点を変えてお話しようかと思います。良かったらお付き合いください。
脊柱を一括りに考えていませんか?
歳をとってから背中が丸まらないようにって思ってるんです。背筋は出来るだけいつもピンと伸ばさなきゃって。
年齢を重ねてからも、出来れば姿勢よく、凛とした佇まいでいたいものです。
老若男女問わず、こんな風に考えている方は少なくないですよね。
では、丸まらない背中を維持するためには何が大切なんでしょうか?
背中を伸ばす意識
というのはもちろん大事。
ただ、その前に頭の片隅に置いておいてもらいたいことがあります。
それは
背骨(脊柱)は椎骨という骨がいくつも繋がって出来ているというコト。
で、背骨は頸部、胸部、腰部で機能的な性質がけっこう異なるという認識がすごく重要。
普段の生活や運動でこの辺りを意識できるか出来ないかで
発揮できる脊柱の機能は大きく変わってくると言っても過言ではありません。
固定性と運動性
よく我々の世界では
スタビリティ(固定性)とモビリティ(運動性)
なんて言葉を使ったりしますが・・・
関節には、固定する機能と動かすための機能が大切であると言われています。
例えば、手を伸ばして高い所にあるものをとろうとする場合
右手は当然、手を伸ばして物を使うために運動性が必要になります。
でも、手を伸ばすためには土台となる体幹が安定していないといけません。
これが固定性です。
で、
個々の関節は固定をメインに機能するものと運動をメインに機能するものに分けられます。
画像は健康長寿ネットから引用させて頂きました。
さて、脊柱に関して見てみると・・・
- 頸椎はスタビリティ(固定)
- 胸椎はモビリティ(運動性)
- 腰椎はスタビリティ(固定)
このようになっています。
つまりどういうことかというと、
- 胸椎はある程度しっかりと動かせないとダメ
- 腰椎や頸椎は動かし過ぎもダメ
こんな感じ。
もちろん、胸椎にだってそれなりの固定性は必要ですし、腰椎や頸椎にもある程度の動きは無くてはいけないというのは前提の上で
機能の特性としてこういった側面があるということは覚えておいて損はありません。
機能特性に合った動かし方を
ちなみに姿勢が悪いヒト、腰が痛いヒトに多いのは
胸椎が硬くなって腰椎で動きを代償しているパターン。
腰が痛いのは筋肉や関節をしっかり使っていないから!腰周りをしっかり動かさないと!
運動が大切、という考えは素晴らしいんですが・・・
胸椎の可動性を確保せずに腰周りをガシガシとストレッチして柔らかくすると、場合によっては腰椎の運動性と胸椎の固定性を過剰に高めて腰痛が悪化することも。
腰椎ってそもそも構造的に
曲げたり捻じったりする動きが苦手
だったりします。
動かし過ぎると椎間板ヘルニアや椎間関節の障害を生じやすくしてしまうこともあったり。
だから基本的にテラサワは
- 腰椎付近は必要最低限の可動性を確保しながら腹圧を高める習慣を
- 股関節と胸椎はしっかりと運動性の確保を
リハビリの際にこの2点を重要視しています。
普段の生活や運動の中でこういったコトを意識できると、腰痛を生じさせるリスクをかなり減らすことができるんじゃないでしょうか。
思った以上に脊柱は曲がるし椎間板も傷んでる
これ、一般の方はあまり知らないと思うんですが・・・
何の自覚症状もないヒトで、脊柱に構造的な問題が生じているケースの割合って実はすごく高かったりするんです。
あ、症状が出ていなければ問題とは言えないか。
例えば椎間板の話。
腰椎椎間板ヘルニアに関するガイドライン2021によると、
腰痛等の既往がない健康な20代でも37%で椎間板に変性が生じており、
同条件の80代では96%に変性が生じている
としています。
つまり・・・
国民全体が整形の病院に行けば、画像所見上は20代でも40%弱のヒトが腰椎椎間板ヘルニアと診断されるということ。
80代なんてもはやほぼほぼ100%に近いヒトがヘルニアということになります(笑)
脊柱そのものに関しても、左右対称なヒトなんてほとんどいません。
骨折等による構造的な変化はともかくとして、脊柱は筋肉や靭帯の短縮などが原因でどこかしらに歪が生じた湾曲カーブになっているのがむしろ当たり前なんです。
ではなぜ症状が出るヒトと出ないヒトがいるのか。
それには様々な要因が関係してくるんですが・・・
大雑把に言うと
- そもそも痛みやしびれ症状を感じやすい
- 繰り返される負荷刺激で神経が過剰侵襲
- 炎症や循環障害で痛みを生じさせる物質が溜まる
この辺の影響が大きいと言われています。
つまり何が言いたいかと言えば・・・
画像所見はあくまで所見のひとつ。
大事なのは症状を出現させている原因をはっきりさせること。
運動器疾患は特にそうなんですが、
疾患名に右往左往せず、原因をはっきりさせてそこに対して何が出来るか、ということを考えていかないと中々症状は改善していかないんじゃないかなーと思います。
そうしないと、症状を良くしたいと思って手術に踏み切ったのに結局あまり変わらなかった・・・なんて後悔に繋がることも実際多いんですよね。
まとめ
今回の記事で皆さんに覚えていってほしいのは2つだけです。
- 頸椎と腰椎は固定性が大事、胸椎は運動性が大事
- 画像だけで判断したらほとんどのヒトが脊柱疾患持ち。大事なのは結果じゃなく原因。
長々と書いてみましたが・・・
言いたいことはけっこうシンプルでした(笑)
要するに、胸椎周りをしっかり動かしましょう、脊柱なんて画像で見れば何かしら問題があるヒトが沢山いるんだから気にし過ぎずいきましょう、正しく運動しましょう、みたいな感じです。
最後が雑(笑)
多少なりとも参考にして頂ければ。
では今回はこの辺で。